Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2009年03月12日

「抽象作品のはじまり」道程5

道程シリーズの第五段
カナダのトロントで自分の作品を作ろうと決意した私。
ある一人のカナダ人の言葉が
大きなヒントを与えてくれました。

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ここでは何のシガラミもありませんし、
限られた道具しかありませんので出来る事を思いつく限りやりました。

墨で書いた線を切り抜いたり、
色を塗ったり、
時には焼いて焦げ目を付けたり、
しかし日本という事を意識していましたので英語で制作する気にはなりませんでした。

そんな作品をふと立ち寄った日本人オーナーの雑貨屋さんで
展示販売してくれる様に成り、目の前で販売出来た時は大きな出来事でした。

ふらっと入ってきたカナダ人が余り遊びの無い作品「ゆとり」の前で立ち止まり、
英語で書かれたタイトルと作品を交互に見て言いました。

「日本語は分からないけど、雰囲気は伝わります。素晴らしい。頂きます。」

一瞬の出来事であっけに取られた事もありましたが、
嬉しい事に彼は“ゆとり”という何かをその画面から感じ取ったと言いました。

日本語で表現しても伝わるのです。

それならもっと伝え易くする方法もあるかもしれない。
日本で展示会をしても読めない、分からないと敬遠される業界です。

どうせ読めないなら日本人もカナダ人も無い。
文字を読むのではなく、見て伝える書の表現…。
それに気付いた私の作品はどんどん抽象的な物に成りました。

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「ひかりとかげ」


カナダ時代の作品。
左側に「ひかり」、右側に「かげ」と書いてます。
今では全くしない様な作品の作り方です。
刷毛で塗りつぶして、柿渋も塗ってます。

今見るとなかなか新鮮です。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 03:09Comments(0)道程