Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2013年02月14日

シンガポールの和食レストランに制作。作品「月のひかり」


作品「月のひかり」

昨年末からシンガポールに和食レストランをオープンされるという事で
作品制作やメニュー等の文字依頼を受け、制作していました。

一気に紹介するには勿体無い(笑)ので
一点ずつ紹介しますね。

今回はレストラン内の個室に飾る用の作品。

本当なら現場を見て作品をイメージする方が制作しやすいのですが
今回は建築中でしたので
イメージ画と、図面で作品の展示イメージを想像しながらの制作でした。

オーナーも一度お出で下さり、お話出来ましたので
方向性は大体決まっていたのですが
サイズや題材はコチラで決めさせて頂きました。

先ず決まっていたのはエンボスを使った作品である事。
それと個室内に三卓あるので三連作にする事でした。

イメージ画では照明に気を使った、陰影のある店内の雰囲気でしたので
間接照明でエンボスの表現は際立ってくれると思いました。

次は飾る壁面をイメージして
三連作の何処に墨色をいれると美しいのか・・?
私がイメージしたのは真ん中をスッポリ空けた
両端の作品に斜めの縦線が走ったモノ。

陰影と斜めの縦線。日本食レストラン。
3つをそれぞれ一作ずつ制作し連作とするのか
1点を作りそれを分割するのか・・?

斜めの線というのが、光が走っているというイメージが出てきたので
「月光」「月明かり」という言葉が出てきましたが
どうも字面が良くない。 2,3日悩んでいた頃
お世話になってる版画工房さんで古い本を見させて貰っていると
「月のひかり」という言葉が出てきました。
これなら文字数 字面 問題なし!作品は分割するという事で決まりました。

今回の紙は徳島の中村功さんの2m×1mの大きな手漉き和紙を用意しました。
それに先ず、墨で「月」。「り」は2作目と3作目に渡る様に書きました。
残りの文字のエンボスの型を制作。
紙を三分割してから、エンボスを施しました。
その状態が上の画像。

和紙の質感(ミミ)が出る様に、額装はマット無しで
額内で作品がチョット浮いている様に加工して頂き
バックは金屏風で使われる同様の物を使用して頂きました。


「月の」

「ひ」

「かり」

という三連作が出来上がりました。
分割した三連作ながら、それぞれも一つの作品として完成させたいと思って制作しましたので
全ての作品に落款をおしています。

それをシンガポールに発送し
展示されたのが

←画像クリックで大きくご覧頂けます。

作品それぞれに照明を当てて頂いてる事に気付かれましたでしょうか?
非常にありがたいです。
これで100%作品の魅力を引き出してもらえる様に成った事と思います。

このレストランはEZOCA(エゾカ)と言います。
HPも出来ていますので是非ご覧下さい。
また隅々にまで目の届いたこのレストランを設計、デザインされたのが
京都で数奇屋建築をされてる岩崎さん。
こちらのHPでもレストランのできていく様が見られますので
一緒にご覧に成って下さい。 

日本食レストランEZOCA 
           EZOCA JAPANESE CUISINE
           The Quayside Isle 31 Ocean Way,
           Sentosa,#01-12 Singapore
岩崎建築研究室  

  
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Posted by HIROSHI UETA at 23:42Comments(4)依頼作品/made to order