Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2015年05月26日

出会い。

5月6日に発売を開始した20着限定のTRINITASさんとのコラボシャツは
初日に半分が無くなり上々の出だしをしてくれ、現在残り5着と成っております。
お買い上げ頂きました方、ワークショップにご参加頂きました皆さんホントにありがとうございました。

さて話は大きく変わり
「時期が来れば表れる」というお話。

今年の私の展示は少々スローになっています。

個展は10月に予定している大阪のギャラリー佑英さんでのみで
他はグループ展です。

先に触れておきますと
・TRINITASさんがこの9月で5周年を迎えられるそうで
 その記念コラボ商品を私も含め数人のアーティストさんと製作を行う予定。
・30色の色を用いて数人のアーティストが作品を制作し
 それを音楽として表現して頂くという企画が持ち上って現在制作中。

と、この様な予定なのですが
去年が忙しかった事も、またちょっと違ったスタンスで制作したい等と考えているセイでもあります。

京都で現代アートイベントが続きそれらを見ている内に
何か色々と考えさせられました・・・今のアートの動きってありますよね・・・。


何必館で展示中。白髪一雄さんの作品

ウヤムヤと考えている所に何必館で開催されていた「何必館で観る現代美術展」が非常に良かったんです。
どの辺りをもって現代と言うのかはよく分かりませんが
展示されてる作家のほとんどが既にこの世に居ない事を考えると
決して新しくはない作品と言えると思え、入館者のまばらな所を見ると
一般目線でもない展示である事は感じるのですが
これらを今あえて展示している何必館の言いたい事がよく分かり、大いに力を頂きました。

作品の素晴らしさもツボだったのですが、ガラスを入れていない額や
それぞれ違った板の上に置かれた陶器に水をはったり、花を生けたり
光の陰影を感じさせる生きた展示の仕方。

隅々にまで気を配られた美意識の高さが今も善しとされている事に
嬉しく成ってしまいました。「こうでなきゃ!」って。

月心寺 お茶室からのながめ

また、縁あって月心寺という橋本関雪の菩提寺に誘って頂いたのですが
これもまた良かった。なんとも例えようの無い感動でした。
何処と言われると困るのですが
建物と庭園の融合に、その空間に、佇まいに。
その日の夜はホントに夢にまで見た程に・・・。

私は「時期がくれば分かる」と信じています。
分からなくなってウヤムヤと悩んでいると
それを解くヒントがいずれ何処からか表れてくれる。

今回はまさに、この何必館と月心寺がヒントです。
答えはまだ出てませんが取っ掛りが出来れば後は何とかなると思います。
という事でヘンな締めですがこれからも頑張ります。


  
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Posted by HIROSHI UETA at 00:59Comments(0)

2015年05月04日

生地に墨で書く難しさ。

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カジュアルファッションブランドTRINITASとコラボレーションした
メンズシャツ「空」、レディースブラウス「海」が6日から発売開始!限定20着です!!

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いよいよTRINITASさんとのコラボ第一段「纏書(テンショ)」の発売の6日まであと2日と成りましたが
本企画の私の方の苦労話を。(ちょっと長いですが・・・)

実験の数々。

今回生地に直接墨で書くという話に成って
沢山の実験を行ったのですが
というのも・・・

墨が服につくと洗っても落ちないと思いますよね。
だから墨で普通に書けば と思うでしょうが
完全には落ちないというだけで
染物とすると落ち過ぎて、うす~いグレーに成るだけなのです。

これは墨は煤(すす)という粉の集まりですから
水に溶けて黒くなっている訳では無く、水の中を黒い粉が漂っている状態なので
それで書いても生地が染まる訳ではなく
繊維の中に粉が入り込んでいるだけの状態なのです。
だから洗うと粉が落ちていく。顔料と言われるモノです。

コレを定着させる接着材の様なモノが必要な訳で
紙の場合、墨に入っている膠(にかわ)がその役割をしてそれで十分なのですが
生地の場合洗剤でゴシゴシ洗しますし、膠自体も水に溶けたり
温度が上がると柔らかくなる性質もあるので
それに耐えられないのです。

書き上がって乾かしている所。上レディーズ「海」、下メンズ「空」

以前着物に墨で書く仕事もやり、染色試験場等でもお話を聞いたりも
したのですが、結局この事とニジミが出過ぎる事がテーマでした。
「辻が花染」

やりたかったのは
安土桃山時代に生れた「辻が花」という染に墨でニジミの無い細い線が描かれているのですが
「これの方法が分からない。今は途絶えているコレを解明して欲しい」と言われたのでした。
実験を重ねたのですが結局上手くいかず、化学樹脂のバインダーと糊を墨と交ぜて書く事に成りました。
しかし、これの駄目な所はせっかくの生地の風合いを損なう所で
乾くとペンキで書いた様に硬く成ってしまうのでした。

市販の墨液でも布用とかありますが
結局は樹脂系の接着剤が入ってて、ニジミにくくする為ドロドロで好きな書き心地ではありません。
かすれた所を何度も書き足したり、やはり硬くなります。

それをどうにか墨の色合いを出しつつ、生地の風合いを残す自然素材で定着できないかと
今までの知識と、染色、漆芸の方のお話や材料などを聞いて
数年越しでそりゃもう色々試行錯誤をしてようやくできたのが今回のコラボシャツです。

完成して思うに、昔の人はホントにスゴイ!
特別なモノではなく、身の回りの素材でその特性を生かしてモノ作りする姿勢。
無理強いはしないそのやり方に感服しました。
レディース「海」。こうして生地パーツに書いてから縫製しています。
メンズ「空」Mサイズ。自撮


しかしこれも生地によっても違う様で
ウールやシルクの様な動物性の生地は、同じ動物性の膠と相性が良いらしいのですが
コットンや麻の様な植物性の生地は相性が悪いという事もあるみたいです。
しかし、そのコットンを克服できた事は今回の大きな収穫でした。
と話ばかりして結果を言わないのでヤラシイですね。

これが今回の必要な材料。膠、明礬、卵白、墨でした。
バインダーも並んでいますが生地を傷める事も分かったので使用しませんでした。



  
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Posted by HIROSHI UETA at 17:11Comments(0)文房四宝