Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2010年11月22日

新作紹介「道しるべ」

前回は大まかに新作の紹介をさせて頂きましたが
今回はもう少し詳しく新作の紹介を致します。

作品「道しるべ」2m×1m
墨、拝宮和紙(徳島・中村功氏制作)


私にとって人と出会う事、素材と出会う事は
次に進む一歩として非常に大事な事なのですが
この作品はその好例の一つでもあります。


(画像はクリックして大きく見られるます。)

以前、神戸のトアロードリビングスギャラリーにて
漆造形作家で京都芸大の准講師である栗本夏樹氏と
徳島の和紙漉き職人の中村功氏の(私の大好物の様な)2人展が開催されました。

栗本氏は私も多くの影響を受けた方ですが
ここで何度か紹介させて頂いてるので
そちらをご覧頂くとして
この時初めてお会いした中村氏も
多くを語る事も無く、飾り気のない素朴で
しかし、芯の通った感じのある素晴らしい方でした。

私も数多くの紙を見ているつもりでしたが
中村氏の漉かれる和紙は何か違って思えました。
存在感のあり、自然素材の荒々しさもあるのですが
どこか優しさと、つつまれる様な大らかさ。
「イイ物に出会った」という感じがしたのでした。

作品に使わせて頂いた和紙は
普通ではあり得ない大きさの手漉き和紙。
一般にあるのは大きくてこの2/3位が限界で
それ以上の物は出会った事がありません。
また繊維が長く、非常に厚く漉かれていますので
丈夫なのは間違いありません。

だからそれを切る事無く
そのまま生かせる方法として
この様な墨の少ない作品として制作致しました。

また今回「木津川アート」で展示した八木邸
素晴らしく大きな床の間があり
ここに華道家中川幸夫氏が残した様な大胆な仕事がしたいと
イメージが膨らんだのでした。

茶室「如庵」1985年 中川幸夫


今回拓本を取った事で出てきた手法でもあるのですが
「道しるべ」の「道」「るべ」は
その文字の型を作り後ろから叩いたり、押す事で
繊維をのばす様にして文字を飛び出させ
「し」を墨書する事で
道の象徴と成る様にしました。

展示しました時も
遠方からは「し」の縦線しか見えないのですが
寄ると「何か飛び出てる」と発見し、「ああ~」と
納得して下さる方が多くありました。

こういった紙の凸凹を見せる作品は
正面からのあかりより
横からの方が影が出来、より立体感を見せてくれます。
下見で丁度床の間の横にあかり取りがある事も分かって居ましたので
思った通りの見せ方が出来た様に思います。

中村功氏の紙と出会ったから出来た作品。
御協力頂いたトアロードリビングスギャラリーさんと
機会を下さった栗本氏にお礼申し上げます。



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Posted by HIROSHI UETA at 20:55│Comments(2)作品/Works
この記事へのコメント
久方ぶりのカキコ、失礼します。

上田様のブログを読み継ぎますと、京都に住みたくなる...しかし、懇意に頂いている作家は「住むな」の一言...これ、いかに。

ともあれ、人と出会うことや素材と出会うことは各々の歴史に触れる機会でもありますね。。「道しるべ」を拝見し思いこもごも。
人の業の交わりを垣間みた心持ちになりました。
Posted by denove at 2010年11月22日 23:12
denoveさん:ハハ。
        確かに京都人は難しいとよく聞きますね。
        実際に難しい方もいらっしゃいますが・・。
        でも私にとっては
        素材と職人と刺激に溢れた良い街ですよ。

        まあ一つ言いますと
        京都人がキライと言ってる京都人に気を付けた方が
        良いかもしれませんね。 笑。

        
        
Posted by HIROSHI UETAHIROSHI UETA at 2010年11月24日 02:02
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