Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2020年04月24日

「榲桲に目鼻のつく話」が金メダル!


ぶん 泉鏡花× ゑ 中川学 「榲桲に目鼻のつく話」


カバーを外すと。

絵本「榲桲(まるめろ)に目鼻のつく話」がオランダ・アムステルダム主催の
国際デザインコンペIndigo Design Award 2020 Book Design部門でGOLDを受賞しました。

ブックデザインはiD.の泉屋宏樹さん。
泉鏡花 絵本化シリーズのイラストレーター:中川学さん×デザイン:泉屋宏樹さんのタッグの
三作目になるのかな。
始めは「龍潭譚」。二作目「化鳥」。そしてこの 「榲桲に目鼻のつく話」。

それぞれ色んな所で活躍してる本で「龍潭譚」「化鳥」はアジアデザイン賞を受賞しましたし
「化鳥」の英語版は昨年イタリアで受賞しました。

このシリーズの素晴らしいのは先ず中川学さんが泉鏡花作品を大好きな所。
そして泉鏡花記念館がその中川学さんの絵を評価し、鏡花作品を表現するのに相応しいと企画にも参加している事。
そしてこの間を取り持ったのが泉屋さんの行動力だったという事。

初めからこの馴れ初めを知ってる者にとっては奇跡の連続でコレがあると思うと
何だか感慨深いモノがあります。

中川さんは自身の個展用にこれまで好きだった泉鏡花の作品を絵本化しようと
「龍潭譚」を描き上げ、自分で手作りで本にしていました。
これを自費出版で絵本化しようと、泉屋さんに相談。泉鏡花の何たるかを知らなかった彼は
早速、金澤の泉鏡花記念館に足を運んでみます。ソコで中川さんの絵をみた記念館の学芸員さんは
ウチで展示してみませんか?とのお話。・・・とまあざっと言うとこんな嘘みたいな話で今があります。

ともかく豪華版な「絵本 龍潭譚」が完成し、大阪で展示会を開き、トークイベントに来ていた方が
コレの絵を動かしてみたいと挙手。是非!って事で映像制作の青木香さんが参加。
この 「榲桲に目鼻のつく話」もアニメーション化されています。

人のご縁ってホントに面白い。

泉屋さんの面白い所は何にでも興味を持つ所と、動く事。
印刷屋さんの印刷機械の所までも足を運びます。紙を触りサワリしながら確かめます。
くどい位の確認の連絡が来ます(笑)。とにかく丁寧なんですよね。
そして知らない事は調べもしますし、武器にもします。
何でもそうですが、知り過ぎるとどうしてもマニアックになります。マニアックになると一般向きで無くなる。
より多くの人に伝えないといけないデザインの仕事では消費者の目線を忘れてはいけませんよね。
とにかくソコの差し引きが上手いんだと思っています。

でも本質はマニアック側の人なので絵本の中に隠しアイテム作ったり
特装版用にこういうのを作ったり

なんなら手作業でも構わないと、よく手作りをしてしまったりします。
手間を惜しまない人。

本当はもっと多くの人が関わってるのですが
ともかくそんな人々が集まり 「榲桲に目鼻のつく話」が受賞しました!
おめでとう!!

私もここに関わらせてもらっています。


榲桲に目鼻のつく話 特装版
   普及版は全国各書店にて発売中
・絵本「化鳥」(日本語版) https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336055446/
・絵本「化鳥」(英語版) https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336062086/
・龍潭譚 販売終了しましたが 特設サイト

泉屋宏樹さんのブログでhttp://blog.id-izumiya.jp/archives/2019/03/19-160147.php
デザインのこだわりも見て頂けます。
宜しければお手元にいかがでしょう。

  
  • LINEで送る


2020年04月21日

書のコラボシャツ&ブラウス制作再開!!

あのシャツはどうなった?もう作らないの?とのお話があり
TRINITASさんとお話をし期間限定(受付~4/30まで)で再開する事になりました。


左からレディースかぶりブラウス「海」、レディースブラウス「海」、メンズブラウス「空」


初めて作ったのは5年前になるのかな。
コットンに墨で書いて色落ちしない様に実験、試作をめっちゃしました。
簡単にやろうとすればアクリルやバインダーを使えば良いんですが
それだと書いた所が硬くなって、せっかくのコットンの風合いを台無しにするんですよね。

それは昔西陣の着物に書いていた時もそうで
その時は結局出来なくて、諦めてバインダーを使いました。

でも、できる様になったんです。
ひとつの発明、発見なんかも知れませんが
墨を磨って、自然のあるモノを混ぜると少しの色落ちで定着してくれました。

染織って化学なんです。
コットンや麻は植物性。ウールやシルクは動物性。
そして墨の定着剤である膠(ニカワ)は動物性なんです。
だから余計にコットンは難しかった。

墨は洗っても落ちないってよく言いますが。
完全に落ちないというだけで、染物としたらマダラに落ちてしまうんですよね。
それを落とさない様に克服できました!
墨も数種類使ってコレ!というのも見付けました。


レディースシャツワンピース「彩」


レディースブラウス(胸ポケット有)「海」


メンズシャツ「花」


レディースかぶりブラウス「海」


メンズかぶりブラウス「はな」


商品は一度洗ってから縫製してますので
それ以上はあまり色落ちしないのですが、多少は落ちます。
なのでしばらくは単品でオシャレ着用の洗剤で洗って頂くのがおススメ。

襟や胸ポケットの有無は選べます。
TRINITASのHPコチラにディティール&詳細。
コチラはそれぞれのイメージがあります。
一枚一枚手書きで書いていきますので好みの文字を伝えて頂ければ
それを書きますし、無ければ「おまかせ」もOK。(名前や好きな花とかも書いた事あるかな)
受付は(~4/30まで)私の方icon30でもTRINITASのHPからでも大丈夫です。

外に出られる様になった時のとっておきの一枚にいかがでしょう?

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 18:13Comments(0)作品/Works依頼作品/made to order

2020年04月18日

コロナ前、コロナ後

蹟(seki) Hiroshi Ueta Japanese caolligraphy exhibition @art bikukan Saga (KOBE) 6-15/Dec/2019 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA


個展「蹟」での展示風景 2019年 アート〇美空間Saga
板の作品「蹟」、床の作品「蹟」、横長の作品「忄(立心)」

元々家で仕事をする人間にとっては
展示のキャンセルや延期はあったものの
今回のコロナの事で仕事環境で大きく変わった事はないが
色々と考える事が多くなった。

テレワークも意外にエエやん。とか
街の空気が澄んでるとかも聞こえる。
昨夜のMTRL京都のライブ中継 https://youtu.be/IBIVmuJw5E8 でも
(まだyoutubeで見られるので良かったら)
色々と考えさられた。

世界のミュージアムやギャラリーがVRに対応し家でも体感できる準備をはじめたり。
美術館の映像資料も公開になった。
MOMA https://www.moma.org/magazine/articles/276
ポンピドゥーセンター https://www.centrepompidou.fr/en
東京都現代美術館 https://www.mot-art-museum.jp/news/2020/03/20200319170516/
ディオール「夢のクチュリエ」展 https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21729
国立西洋美術館 //www.youtube.com/channel/UCFtBgJ1ArMLvcpQeT2vNupQ/
などなど・・。

どこかの資源をどこかの国に運び製造し、どこかの国で販売し、売れ残ったモノをどこかの国で廃棄。
こういう運搬から発生するCO2や、エネルギー、プラスチックゴミ等の環境問題や
フランスでは"ファッション協定"を宣言し、環境に配慮したビジネス転換も丁度動きだしていた所に
今回のコロナ。

人やモノが動かなくても”事”が生まれたり、学べたり
無駄なく製造ができるシステム(マスクの作り方を共有したりも)は正しく今起こってるし。
そういう事で無意識下でも環境的にも負荷が少なくなってきている。
今回の事であらゆる所で強制的ではあるがスタートしてしまった。

コロナ前の状況に戻るわけではなく
コロナ後には世の中はこうなったという後々話される様な事に
既に動き出しているんではないのか。

ともかく天気のいい日は外で色んな人に会いたいという
この気持ちは抑えられないけど。

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 16:52Comments(0)道程作品/Works

2020年04月17日

書=呼吸


和楽器は息で合わせていると以前書いた。
臨書しながらその人のリズム(呼吸)も感じ取れる気がすると
何処かに書いたと思うが、
呼吸を知るとその人物も何となく想像できる気もする。
この人めんどくさそうとか・・w。

ともかく臨書って文字を見て、線を見て、線バランスをみて
筆使いを見て、リズムを見て、呼吸を読む。所があると思う。

書は呼吸。
とも言えるのではないか。

記録は出来ていないが、ジャズトランぺッターのユン ファソンさんとのセッションで
もの凄く気持ち良くできたのがあった。凄く抽象的で繊細で、やってる時間も短かったと思うんだけど
ものすごく熱く、ある意味官能的なセッションだった。

動画はニュイブランシュ京都2019の時にフランス人ダンサー ベンジャミン・ベルトラントとの
コラボレーションパフォーマンスの一端。
「書く音で踊って」と言ったのがコンセプトのスタートで
ソコからセッションを重ねる事で出来上がった。


  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 18:55Comments(1)作品/Works

2020年04月15日

見るよりも感じる桜


男前豆腐店 桜風味とうふ

和歌の続きをします。

和歌は色んな事を歌います。
恋、季節、故郷、自然そして多くは切なく、無常的。

一度満開の桜の歌を探しました。
満開で美しい!嬉しい!テンション上がる‼みたいな。

見付けられなかった。
これから咲く事を待ち望む歌、もしくは散ってゆく歌ばかり。

きっと見てるだろうけどそれは歌わない。
もしくは見るよりも想像する方が美しいという事かも知れない。


これまで広告の文字は墨色というよりは
文字を見せる事を主にしていましたので、文字の黒はベタ黒にしていましたが
この桜の文字は初めて墨の濃淡を利かせる様にしました。

醤油というよりは塩であっさりいただいた方が桜の風味が感じられて
そのほんのりとした感じが春を感じさせてくれますよ。


  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 14:16Comments(0)道程作品/Works

2020年04月15日

なぜ歌をうたう。


作品「ぬばたまの月」 青空blue 大丸心斎橋店:店内に展示

何故日本人は昔から歌を作っていたのだろう?
(短歌の事ね。)

万葉の頃から。
何度も歌集を作り、語り継ぎ、書き残し。

確かに中国の漢詩から来てるのだろうけど
それが天皇の命令で和歌集を作ったり、和歌を専門とする貴族が居たり。
和歌を送ったり、返したり。
器の箱に、茶杓に和歌を書いたり。飾ったり。
ホントに不思議な文化。

想像するに和歌ができたから平仮名が生まれたんじゃないかと。
教養としての部分があったというのはなんとなく想像できるにしても
なぜそこまで執着していたのか?

今で言うと歌謡曲で
百人一首はその時のベストヒット100な訳で
美空ひばりからミスチル、エグザイルまで。誰でも口ずさめる有名な曲。
なんて事かと想像した時もあるんだけど
もっと強い思い入れを感じる。

なんか重要なヒントがあるんじゃないかと想像する。

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 01:08Comments(1)道程作品/Works

2020年04月14日

書になるという事。


作品「蹟」2019

過去、具体と墨人の間では分かり合えなかった。
書の人間が書であるが故の呪縛から逃れられなかった事と
具体美術の立ち位置が西洋側に置いていたからだと思う。

結局は具体も西洋側とは分かり合えず
また墨人もしかり。
我道をそのまま進む事になった。

しかし現在は海外でも具体や井上有一を始め墨人の作品が再評価されている。
当人達が知ったら驚くだろう。

グルーバルの世界で必要なのは価値観がイコールになる事ではなく
多様性を面白がる所。
世界中がリアルタイムに見えるからこそ余計に
同じ価値観になってしまうほどつまらない事はない。
虹を7色に見えたり、3色に見えたりするから面白い。

書になるという事と
現代美術になるという事。
これらをあの人達は散々考え抜いたんだろう。

とにかく色んな事が腑に落ちた。








  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 02:49Comments(0)道程作品/Works

2020年04月12日

ユズレナイ


作品「曲がった"と”」の鏡

表現は自由であるはず。
しかし文字には書き順があり、文字である為のルールがあり
書道である為の道具があり
私は未だに"二度書き”する事ができない。

立体、版画、写真、ステンシル、デジタルと
散々色んな表現をしてきたのに
未だに"二度書き”ができない事にふと気付いた時、驚きと共に笑えた。

気付いたんだからできるのかと言えば、やはりできない。

書き順は文字の柔軟性が分かったから変えられた。
道具も表現の必要性から変えられた。
しかし二度書きはしない。

なんだろう?この呪縛。

華の抛入(なげい)れの様な。
陶芸の火入れの様な。
音楽の即興の様な。
もう一度、もう二度とが無いが
ユズレナイ・・。

三味線や琵琶には「障り」というのがあるらしい。
ピアノの様なクリアじゃない音にワザワザ調律するという。
こういうのも似てるかも知れない。

和楽器とオーケストラを一緒に演奏する難しさを聞いた事がある。
タイミングの取り方が違う、そして毎回変化する。
これももう一度、もう二度と無いもの。

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 02:02Comments(0)道程作品/Works

2020年04月10日

自分ルール


作品「蹟」 2019

音があり、それを書き留める譜面の規則ができた。
その後、規則をイジクる事で音楽を作る事が起こった。

人に伝えたかった。伝える為の方法が作られた。
その方法使って、人に伝わり難くする事が起こった。

綺麗に着飾りたかった。どうすれば綺麗に見えるか洗練された。
その洗練された方法じゃないと邪道だと言われる様になった。

物を大切に保管したかった。箱が作られた。
その箱を大事にする箱が作られた。箱にも価値が付いた。

客観的に見ると笑い話。
本質を忘れないでと自分にも当てはまる事。

そして本質さえ間違えていなければ
他の方法、別のルールも作れるんじゃないのか。

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 18:55Comments(0)道程作品/Works

2020年04月09日

息を合せる。


作品「蹟」2019 個人蔵

バンドにはベースやドラムのリズムセクションがあり
ビートボックスは正しくビートを刻む。
オーケストラには指揮者がおり、指揮者に合せる事で多くの人間が一緒に演奏できる。

リズムって結構大事な事は想像できると思う。
リズムに演奏者全員が乗っかる訳なんだから。

三味線と琴の演奏会や雅楽、能の舞台などに触れた事があるが
あんなゆっくりした演奏にも関わらずリズム隊がいない。
ゆっくりしたテンポほど合奏するのが難しいのに。
聞くと息を聞いてるらしい。
まさに「息を合せる。」

書道の臨書をやってて最近疑ってる事は
本当にこの人は私と同じように筆を持ってるのか?
同じ様な角度で筆を使っているのか?
もしかして左利き? なんて事を考えたりしている。

私の今の想像では平安時代の人達は正座をしていない。
どうも正座という言葉になったのは明治前後。
もちろん今の正座の様な座り方はあったが、それは神仏に対する座り方だった様。
じゃあ今臨書してる平安時代の書はどんな体勢で書いていたのか?
そんな事からはじまり、今の書の常識とは違うんじゃないのかと疑う様にしている。

そしてもう一つ臨書をしてて感じるのはその人のリズム。
ここで一呼吸入れるのか・・・。ここは一息入れないのか・・・。
線や形を見つつも、呼吸を後追いしてる気もする。

たぶん呼吸と鼓動はリンクしてる。
そして音楽で心地良いと言われるのは歩くテンポ。



  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 18:49Comments(0)道程作品/Works

2020年04月08日

その先は自分で考える。


作品「れんめん」

フランスで起こったアンフォルメルのアートムーブメント。

ずっと前から興味があった具体やモノ派の日本のアーティスト達。
具体なんかは芦屋の方で活動をしていたそうなのだが
年表を見てみると私が生まれた頃に芦屋の松並木の屋外で
展示していたらしく、実はそんなに昔の話でもない。
母が言うには変な人達がいるなあと思っていたらしい。
芦屋の市立美術館に行くとその辺りの資料が見られる。

ソコに森田子龍等の書道の人間たちも交じっていたらしく
一緒に写真に写っている

そんな日本のアーティスト達に影響を与えたのがアンフォルメルの人達。
度々日本に来てはパフォーマンスや展示、講演などを行っていたらしい。

墨美を創設した森田子龍や井上有一らの所にも呼ばれ交流を深めていたが
お互いにどうも意気投合できなかった事が
書の人間は余白を禅などの日本の文化、美意識を持って説明しようとするも
それが伝わらない、この漠とした所にいつも逃げ込むが、その漠とした所の説明がつかない。
日本のアーティストの難しいさがここにある気がしてた。

確かにあるハズなのに、いざ口に出そうとすると煙に巻かれる。
光悦の茶碗や、龍安寺の庭、良寛の書。近づこうとするほど離れていく。

昔から日本人が日本の美意識に興味を持ち、如何に他とは違うのか
如何に優れているのかと追及し、本にし語ってきた。本当にそうなのだろうか?

具体のアーティスト達もアンフォルメルの話を聞けば聞くほど、自分達の思ってたのとの違いを感じ
結局独自の方向に進んでいったと思われる。

しかしアンフォルメルの先に今のヨーロッパの現代アートはあるし
前衛の書道で言うと墨美の先に今の書がある。漠としたモノはそのままに・・。

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 20:26Comments(0)道程作品/Works

2020年04月07日

当たり前を考える。


作品「忄(りっしん)」 2019

神様、仏様の前では願い事をしますか?
お守りにもそういうのが沢山ありますよね。
家内安全や交通安全、厄除け、良縁とか・・。

フランスのアーティスト達と話してたら

=え!教会でお願い事するの?なんで?
 神は全てを知ってるんだからお願い事なんかしないよ。

じゃあ例えば教会でお祈りしながら何を言ってるの?
=感謝。

おお~!
=いつも見守ってくれてありがとう・・みたいな。

こういう違いって面白い。
神だのみという言葉さえも無い訳ね。
「なんならお願いする時に自分の名前や住所まで伝えとく人もいるよ。」
なんて話すと大ウケしていた。


文字鑑定、筆跡鑑定のジャンルの研究をしてるアーティストに
この文字からなんか読み取れる?って見せられたアメリカの精子ドナーの手紙があって
英語なんで難しいなあと思いながら、文字の書き方や、クセから感じる事を話していたのですが。

ああ、そう言えば家に遺書や死刑囚の残した絵や文章の本あるよ。興味ある?
=エッ死刑があるの?
うん。あるよ。

=自殺するのになんで文章残すの?
何か言いたい事があるからじゃない。

=言いたい事があれば言えばいいじゃない。
んんん・・・。

死刑の事は法律の事だからここでは一旦置いといて
遺書って言いうのはもしかして文化なのか?
自分の意思ではないにしろ自殺しないといけない場面(切腹とか)が昔はありました。
そういう時は言い残した事がきっとあります。
だから遺書というモノができて、遺書という言葉が日本にはある。
遺言とはちょっと意味合いが違いますよね。

ともかく日本には死刑があり、遺書がある。
当たり前な言葉だと思ってた事が、当たり前じゃ無かった訳で。
色々と考えさせられるきっかけになったというお話。

なんなら絶筆というのもありますね。
お坊さんがいよいよという時に
弟子達が「最後に一言!」と筆と紙を差し出す。
なぜ言葉じゃなくて書き残すという事になったのか、これも考えると興味深い文化。

(ちなみに私は基本お願い事はしない派)  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 13:24Comments(0)道程作品/Works

2020年04月06日

アイデアが降って来る。


作品「沈黙」
ヘーベルト美術館(グルノーブル)にて photo by Martine Rey


以前TEDを見ていた時。
色んな人のアイデアが降って来る時の話をしていた。

ある詩人は
家近くの草原を散歩していたら
遠くの山から詩がコチラに向かって飛んで来ている。
ヤバイ!と思い、家に走る。
詩はドンドン自分に追いつき、追い越してゆく。
家に駆け込み、逃がすものかと詩の尻尾を掴み
ペンを取り、詩のお尻から書き留めた。  

ある歌手はいつ詩が降りてきても良いように
常にレコーダーを持っている。
床に就き、ウトウトした時に降りてきてもレコーダーに喋りかけ安心して眠るという様に。
ある時、車を運転してる時に降ってきた。
アレっ?レコーダーが無い・・。急いで家を出たから忘れたか!
「今じゃねーんだよ!この野郎!」と空に向かって怒鳴り散らした。

私の場合何故か風呂に入ってる時が多い。
自分の展示会でコンセプトを考えるのに図書館に行ったり
実際に体験しに行ったり、気になる作家の作品を見に行ったりと散々調べて
色んなヒントを元にコンセプトを書き進めるが散漫に成りまとまらない。
パズルのピースが沢山手元にあるのに全然ハマらない感じ。

そんな頃風呂に入って頭を洗っている時に不意にパチッとハマる。
よくこんな事がある。

これもTEDでの話だが
この事を丁度話していた。
人は頭を空っぽにする時が必要なんだと言う。
散々思い悩んでも答えが見つからないという事はよくある。
そういう時こそ散歩したり、山を見たり、取り合えずボーとして
頭を空っぽにしてスペースを空けてあげる必要があるとの事。

確かに自分も頭を洗っている時に何かを考えたりしていない。
ただ頭を洗っている。 きっとそういう事なんだなと腑に落ちた気がした。

  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 15:32Comments(0)道程

2020年01月16日

2020年を語る前に

長らくブログの更新を怠ったままで
ホームページの更新をして居りました。

http://www.uetahiroshi.com/良かったコチラをご覧ください。

2019年ニュイブランシュ京都でのフランスのダンサーのベンジャミンとのコラボレーションの様子。

同じ参加者の方が撮影をして下さってたのですが
本番はお客さんが多過ぎて撮影し難かった事と
リハーサルの様子が面白かったらしくて
ほとんどがその時の模様ですね。

墨を塗りたくって、真っ黒になったベンジャミンの様子は
HPの方にありますので
http://www.uetahiroshi.com/Performance.html
コチラでご覧下さい。

また神戸での個展も多くの方にお出で頂き誠にありがとうございました。
神戸新聞さんが大きく取り上げて下さったので
その反響も大きく、出身の淡路島の方々や
嬉しい出会いも沢山ありました。
ごく一部なのですが、これも
http://www.uetahiroshi.com/Exhibition.html
コチラの方に掲載しております。

今後もまた一緒にやろうと話している京都コンポーザーズジャズオーケストラさんとの
芸術センターで行ったコラボレーション。

こちらはYahoo newsでも取り上げて下さっています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tomizawaeichi/20190714-00134251/

去年の今頃はパリでメゾン・エ・オブジェに参加し
その後こんな事をやっていました。


そして照明デザイナーのセリーヌライトさんとのコラボレーション


グルノーブルのヘーベルト美術館でも壁面に書いてしまいましたし
生中継 五山送り火のTV番組タイトル


4日間のみの限定発売の男前豆腐店さんの「五山の送り火とうふ」もありましたね。
これまでの集大成の様だった白沙村荘橋本関雪記念館での個展も
かなり思い切った事をさせて頂きました。
長く構想を練っていたので、私にとってもかなりのインパクトのある展示でした。
VRパフォーマンスやったり、コラボレーションディナーをやったり。
http://www.uetahiroshi.com/Exhibition.html
さあ今年は何があるでしょうね?
幾つか決まっているグループ展はありますが
個人的にも他にやっていかないといけませんね。
皆さんにとっても良い年になります様に。

  
  • LINEで送る


2019年11月05日

個展「蹟(せき)」上田普書作品展のお知らせ

ちょっと前まで半袖で過ごしていたのに
急に秋っぽくなってきました。
この感じだと京都の紅葉も急に始まりそうです。

秋は美術館でもとっておきの企画を用意しますし
ギャラリーでも展示会がホントに多い。
私自身行きたいイベントが盛り沢山で体が足りないと思う状況。

あまりにも集中するこの時期は逆に自分のイベントは避けようとしています。
で、今回は秋のイベントが落ち着いた頃の12月に神戸で個展をさせて頂く事になりました。



昔は色んな情報をDMに入れていたのですが
最近は要らないなあと思いシンプルにしてもらっています。

今回もDMデザインはiD.の泉屋宏樹さん。
私の好みを分かってくれているのでいつもホントに助かります。
綺麗でしょ?!
--------------------------------------------
蹟(せき) 上田普書作品展        SEKI-Hiroshi Ueta solo exhibition
会期:2019年12月6日(金)~15日(日)    December 6 (Fri)-15 (Sun), 2019
   AM11:00~PM6:00 会期中無休   
会場アート〇美空間Saga 
神戸市中央区下山手通2-13-18 観音寺ビル1階 MAP
TEL 078-321-3312
上田在廊日: 6、8、10、13、14、15
----------------------------------------------------------------


高僧の書いた書を墨蹟(ボクセキ)と言い
また書かれた字。また、その書きぶりを筆蹟(ヒッセキ)という。
蹟(セキ)とは― あと。あしあと。あとかた。

ただその人の言葉、文字を読むというよりも
墨のあと。筆のあと。にその人の息遣い、気配みたいなモノを感じ
鑑賞し、その人を想像しているではないだろうか。

書にはその紙の奥側の深さがあると
これまでの展示で言ってきた。
点を書くにしても筆を沈めて書くその筆運びには
過去に石に文字を彫っていた頃の名残があると。

しかしその息遣いは奥だけでなく、紙の上にも繋がっている。
筆蹟は線と線の間にもある。
一気に書かれる書は、だからこそ一気に書かれる。

蹟をたどりながら、呼吸を感じ、疑似体験していく。
そこに墨蹟の本質があると感じている。


こんな事を考えています。
作品だけを見ると何処が書なんだと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが
あくまでも作品はこういう事を思って、また魅力を感じているので
書の延長線上だと思っているんですよね。

また今回は墨をまた違った使い方をしています。
という事で是非ご予定のひとつに書き込んで頂ければ嬉しいです。

あとHPを新しくし、ようやくスマホからも見易くなりました。
長らくほっておいた資料を引っ張り出したり、最近のも追加。
VRパフォーマンス、ニュイブランシュ、パリでのパフォーマンス動画も
HPから見られる様にしましたので良かったら覗いてみて下さい。
http://www.uetahiroshi.com/






  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 02:58Comments(0)個展・グループ展/Exhibition