2008年10月26日
棟方志功
棟方志功作 「華厳譜・風神の柵」 昭和17 30.3×37.9cm
雑誌「京都」1976年より
TVで棟方志功のドラマをやっていて
途中からですが見ました。
いくらか脚色されてるのでしょうが
作家の作品に対する熱意
取り巻く人々の温かさが
自分と重なり何度か熱い物が込み上げて来そうでした。
私にも多くの支えて下さる方が居ります。
自分を疑いそうな時
そういった方々を裏切ってはイケないと
自分に喝を入れるのです。
先人が真摯に向き合い、戦った芸術の世界。
同じ土俵に立とうとする人間は
先人に失礼のない態度で芸術に向き合わないと、
と自分を戒めている。
・・なんて言うと今の時代にあわないのかな。?
多くの現代美術と言われてるのを見ると溜息が出る。
そう言えば最近一般誌にも民芸を取り上げていたり
民芸関係の作家の展覧会も良く目にします。
何か新しい動きでしょうか。?
棟方志功書 「華厳」
横画がシマシマに成っています。
これはきっと畳跡です。
棟方の筆圧が分かります。
2008年03月02日
大谷祥子etレチスマックConcert 2008
「Letismac(レチスマック) TRIP TO HEAVEN ~クレマチスの丘へ~」 CDジャケットより
本日、京都万華鏡ミュージアムにてレチスマックの演奏会があり伺ってきました。
このレチスマックというグループはピアノ、パーカッション、バイオリン、箏の編成で
和とも洋ともつかない不思議な、しかし凄く心地ちの良い音楽を提供してくれます。
何度か箏奏者の大谷さんにお誘いを頂き、演奏会には伺っておりますが
今回初めて全部の楽器が揃った状態で聞かせて頂きました。
ピアノ以外は全て生音で、奏者を間近に感じながらの演奏。
何か凄くリアルな、繊細で、しかし実力に裏付けされた安定感もあり
聞き手の私はリラックスし、音の流れに流されて来ました。
毎回、何か新しい発見と刺激を頂いて居ります。
是非、今後も演奏会がありますので
多くの方に、この感動を味わって欲しいと思います。
箏奏者大谷祥子さんのHPhttp://www.shoko-otani.com/index.html
こちらのスケジュールに今後の予定がありますので
御参考になさって下さい。
ちなみに5/10から始まります。
「天籟(てんらい)シリーズコンサート
~手を伸ばしても届かぬ天上の音を天籟と呼ぶ~
光の波紋を描くような天籟の音に目を閉じ身を委ねて。」
には、私が書きました書も使って頂ける予定となっています。
2008年02月22日
戦利品
突然ですが、私は京都のリサイクルショップが好きです。
古道具屋も好きなのですが
付加価値を付けてる物が多く、なかなか手が出せません。
しかし、リサイクルショップでしたら安く手に入りますし
京都という土地柄のせいでしょうか、昭和初期や大正の頃のチョット古い物もよく売られているのです。
他の土地ではそうはいかないと思います。
書道道具で探すとしたら墨。
墨は古く成る程良くなると言います。
20~30年経った墨でしたら、元の定価の2,3倍の値が付いてる事もある位です。
ですから、リサイクルショップや古道具屋で使いさしの物でも
古そうな墨を探します。
小学校の頃使った様な物でも、落ち着いた良い色がでる事があるのです。
お立ち寄りましたら是非、探してみて下さい。
今回見つけました物は、版木です。
上の物は銅板で、下の物は木版でした。
図柄が歯医者さんと、薬品の調合をしてるのでしょうか?
ナントも不思議な絵です。
医学書の挿絵としてでも作られたのでしょうか?
しかし、そんな事を抜きにしてもこの細かい細工に驚いたのです。
刷りが上手くないので申し訳ないのですが
線描だけでここまで仕上げてる事が凄い労力です。
この版が600円程度。
驚きです。
2008年02月02日
国宝源氏物語絵巻
国宝源氏物語絵巻 鈴虫より
「とはなくふえなとふかせたまふ
しのひたる御まいりのさまなり
うるはしかるへきをり〱は」
いつかこのブログにて書きましたが
(http://hiroshiueta.kyo2.jp/e34659.html)
この国宝源氏物語絵巻は紫式部が書いた物ではなく
写本と言いました。
そして何人かの人によって書かれた物と。
今回はそれを見て頂こうと思います。
上にあげました書は、手本にしたい程スマートな癖の少ない物です。
流れるような線のつながり、左右にクルクルと回る筆遣い。
線の太い細い、墨つぎによる濃さとカスレの抑楊。
こんな手紙が来たら
顔を合わせる前に、手紙や歌でやり取りをしていた平安人は
さぞ美しい、教養のある人なのだろうを想像をふくらましてトロケていたはずです。
そしてこの書。
(http://hiroshiueta.kyo2.jp/e34659.html)
この国宝源氏物語絵巻は紫式部が書いた物ではなく
写本と言いました。
そして何人かの人によって書かれた物と。
今回はそれを見て頂こうと思います。
上にあげました書は、手本にしたい程スマートな癖の少ない物です。
流れるような線のつながり、左右にクルクルと回る筆遣い。
線の太い細い、墨つぎによる濃さとカスレの抑楊。
こんな手紙が来たら
顔を合わせる前に、手紙や歌でやり取りをしていた平安人は
さぞ美しい、教養のある人なのだろうを想像をふくらましてトロケていたはずです。
そしてこの書。
国宝源氏物語絵巻 東屋より
「さしとむるむくらやしけきあつ
まやのあまりほとふるあまそゝ
きかな」
「さしとむるむくらやしけきあつ
まやのあまりほとふるあまそゝ
きかな」
非常に力強い、個性のある書です。
左右にクルクルというより、上下左右に直線的に線をグイグイ引っ張っています。
(一行目4文字目の「む」なんて必要以上に力強く線が下がってきて、点に向い上がっています。)
線が少しバラけている所を見ると、細かい事は気にしないタイプなのかも知れません。
この様な手紙が来たら、M気のある人でしたら大喜びでしょう。
人を引っ張っていく、指導者的存在な人かもしれません。
しかし、こういったのは手本には向かないと思います。
ある程度技術を身い付けた人はいいですが
人の癖を自分の癖にしてしまうと、自分の個性が失われてしまうかも知れないと思うからです。
左右にクルクルというより、上下左右に直線的に線をグイグイ引っ張っています。
(一行目4文字目の「む」なんて必要以上に力強く線が下がってきて、点に向い上がっています。)
線が少しバラけている所を見ると、細かい事は気にしないタイプなのかも知れません。
この様な手紙が来たら、M気のある人でしたら大喜びでしょう。
人を引っ張っていく、指導者的存在な人かもしれません。
しかし、こういったのは手本には向かないと思います。
ある程度技術を身い付けた人はいいですが
人の癖を自分の癖にしてしまうと、自分の個性が失われてしまうかも知れないと思うからです。
違う人によって書かれている事は一目瞭然です。
こんな風に絵巻物を眺めて見るのも楽しいと思いません?
こんな風に絵巻物を眺めて見るのも楽しいと思いません?
2007年12月24日
素敵な映画
クリスマス・イブに素敵な映画、その映画の音楽を紹介します。
「BELLEVILLE RENDEZ-VOUS (ベルビル・ランデブー)」
というフランス・カナダ・ベルギーで制作された物です。
アニメーションなのですが
音楽、映像が素晴らしく思いました。
you tubeでは歌手のマチュー・シェディッドのキャラが最高に笑えます。
you tubeより http://www.youtube.com/watch?v=pMzoNO3wdY4
ベルビル・ランデブーオフィシャルサイト http://www.klockworx.com/belleville/index.html
ほぼ、劇場での上映は終わっていますが
お気に召しましたらDVDででも楽しんで下さい。
良いクリスマスを。
2007年09月12日
きれいに書く方法
日比野五鳳作 「こころよき疲れ」 24×36(cm)
「こヽろよき疲 れなるかな 息もつかず 仕事を したる後の この疲れ」 (改行にてスペース)
石川啄木歌
私の大好きな書家 日比野五鳳。
岐阜県にお生まれに成ったのですが
30前からは京都で活動されてた様です。
大学で書道コースに居た私は、卒論でもこの方を調べてました。
派手さは無いのですが
人となりが出てるのでしょうか
すごく大らかな作品を作られるのです。
実際に筆が大きく回っているのですが
例えば ・二行目頭の「れ」の最後のはらい。すごく遠くから来てます。
・五行目の「た」実際なぞってみますと、かなり大きく回ってます。
という風に近道をされないのです。
なかなか出来ない事でして、結構ゆっくり書かないと出来ません。
そう言ってる私自身速く書いてしまう一人なのですが
たまにこの方の作品をなぞって戒めています。
よく人に上手く書く方法を聞かれます。
筆でもペンでも、これ以上無理という程ゆっくり書いてみて下さい。
辛抱が大事なのです。
2007年09月08日
夢候よ
「夢候よ」
現在、秋に向けて作品の制作をしております。
コンをつめてやっておりますと
やはり煮詰まってくる事がよくあります。
昼間でしたら、外に出て喫茶店や本屋等を周ったりしますが
大概私の作業は夜が多いもので
外に出ても店の多くは閉まってます。
そんな時、画集をめくったりCDを色々変えたりします。
そこで私のお気に入り作家の紹介を紹介します。
鴨居 玲(カモイレイ)さんです。
もう亡くなって20年程なるのですが
命と引き換えの様に絵を描いていた方です。
作家には色んなタイプがあると思いますが
自分の命を削ってでも良い物を描きたいとしている作家もいます。
私はそんな方々と同じ土俵に立とうとしてる訳ですから
彼らに申し訳ない様な取り組み方はしたくないと思っています。
彼の画集を見て「負けヘンでー!」と思い
紙に向かうのです。
2007年08月23日
シャカラビッツDVD発売
本日(8/22)より、
SHAKALABBITS(シャカラビッツ)のDVD
「神ノ街シアター」が発売されました。
このDVDには私が作品と共に出演させて頂きました
「満天の星を探そうとも空は見ない」が収められております。
このPVは歌詞の各一行を様々なアーティストに振り分け
それをテーマに制作を依頼し、PVの中にその作品とアーティスト自身を
登場させる。
というコンセプトのものです。
私の書以外にも、銅版画、陶芸、ネイルアーティスト、アニメーション、ジオラマ、等々
ホントバラエティーに富んでます。
おまけコンテンツでは、各アーティストの紹介と作品コンセプトも収められてます。
しかし!
残念な事ですが、私の名前間違われてました・・。
「上田 晋」 になってました。
間違われやすいので気を付けて、と言ったハズなのですが。
発売されてからでは遅いですよね・・。
とにかく、このPV集のDVD。
すごく凝ってます。
映像作品としてもよくできてます。
こんな、素晴らしい物に出演出来ました事
大変嬉しく思いました。
皆さんも是非買ってご覧になって下さい。
2007年07月14日
祇園祭はこれを片手に
いよいよ本格的に祇園祭らしくなってきました。
しかし、今年は台風直撃っぽいですが大丈夫なのでしょうか?
上の画像は四条辺りで無料配布されてるパンフなのですが
このイラストは、atelier kobouzu(アトリエ こぼうず)さんの作品。
本当にお坊さんなのですが、プロのイラストレーターでもある方。
http://www.kobouzu.net/
見た目のかっこ良さだけを追いかけて、根っこの見えないイラストレーターが多い中
koubouzuさんは、知識と感性が上手くマッチした物を作ってる
尊敬できる方です。
この方のパンフ、すぐなくなるそうですので
四条に行かれましたら探してみて下さい。
私は藤井大丸で手に出来ました。
上は「菊水鉾」
2007年06月05日
線の妙
いつかしら見た北斎の本に
「書は入りやすく学び難し、画は入り難く学びやすし
書画は左右の翼の・・」様なものだから、双方を勉強する必要がある。
といったものを見た事がある。
確かに、昔の人達はどちらも本当に上手い。
書を学んでいる私達が惚れ惚れする様な線を
絵の中に取り入れている。
(この長谷川等伯の葉の裏返りの様なんて・・ほんと絶妙!)
「学び安し」って本当だろうか?
キチンと取りかかってみたい と想う近頃である。
左右の翼あって飛び立てる訳ですから。
だろ? 北斎。
2007年05月11日
衣を脱げ
大いなる尊敬をしてます
熊谷守一のクロッキーです。
1日中蟻んこを眺めてたエピソードは有名ですが
爺ちゃんになって何十年も家の庭を周る他は
敷地から出る事は無かった事。
チェロを弾くのが好きだった事。
ホントに純粋な眼をしてる事。
興味の尽きない、私の憧れる仙人の様な人です。
こんな絵が描けれる様になるまで
いったい何枚の衣をはいできたのか。
自分に厳しい人であったろうだけに
はかり知れません。
ためらいの線が無いでしょ。
ためらう事が無いのです。
凄いと思いません?
2007年05月08日
手を抜くな!
私の大好きな作家「芹沢銈介(せりざわけいすけ)」の製作した
蔵書票です。
染色家として、本の装丁家として、建築デザインナーとして
多くの仕事をされた方ですがホントにセンスがいい!。
今のグラフィックデザイナーの様な仕事を多く残しているのですが
その多くが過去の物、もしくは民衆の生活の中で育まれた物
をフマエて手を加えてる。
この地に足の着いた取り組み方が非常に参考になる。
/
この手の抜かない仕事。
蔵書票を一冊にまとめたこの本。
中身は全てオリジナルである。
なんと贅沢な一冊!
一体何部作られたのだろうか。
こんな想いのこもった一冊を手にした人を羨ましく思うと同時に
そんな仕事を残したいと思う。