Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2016年02月02日

墨を磨る楽しみ。硯(すずり)制作現場見学

教室で参加者を募って硯の制作の工房を訪れてきました。

以前、最近は墨を磨る人が少ないという話をしていましたが
すらないのだから硯を必要とする人も少なくなってきているのでしょうが
しかしながら、これから筆を持って・・と考えている人の中には
墨をゆったりと磨る様な時間を求めている人もきっと多いはず。

林京石さんの硯

実感として墨を磨って書いた方が墨色が美しいのはもちろん。
サラリとした書き心地
墨と硯の吸いつく様な滑らかな感触
すれてきた時の墨の艶感も見てほしいと思うのです。

墨は価格でおよその判断はつくのですが
硯は石ですので、その希少価値や古美術品的価値
有名無名で値段が上下するので本当に難しいモノ。
中国ので凄く良い有名な硯はあるのですが
これも偽物があったり、値段程じゃないモノがある事も事実。

正直どの辺りを買えばイイのかと悩むのですが
だったら日本の石の、日本の職人さんが正直に作ったモノ(和硯)を使えば良いんじゃないかと思うのです。
最近の職人さんはチョット洒落た硯も作っていますしね。

実はこんなに小ぶりで可愛らしい。小筆で書く程度ならこれで十分。

日本で有名な硯の産地は山梨の雨畑硯。
山口の赤間硯。高知の土佐硯。宮城の雄勝硯等がありますが
残念ながら今はどちらも職人さんが減ってきている様子。

今回伺った
京都の長岡京市で制作されている林京石さんは
雨畑で修業され、雨畑の石で製作されている30代のお若い方。

仕事場。

実演しながら御紹介下さいました。

師匠はもうお亡くなりになってしまったという事ですが
貴重な原石は師匠から受け継ぎ、自分の一生分位は確保しているらしいです。

雨畑の特徴は目が細かく硬いので
発墨良く、鋒鋩も崩れにくい、手のひらを当てるだけの湿気でも
吸いこまない程の水持ちもの良さも評価されています。
(水を吸い込んでいく様な硯は良くないと言われます)


硯を削る道具。肩で押すように使います。体験させて頂きました。

ある程度形成すれば、研ぎで仕上げていく。
研ぎながら石の良い層を出していくというお話でした。


小さいのは砥石。砥石も良いのは高いのですよね・・。


師匠の望月知石さんの硯。


試しに作ってみたという平板状の硯。
1、2滴の水を磨る程度。手紙を書くならこれで十分。
手軽な感じがイイ!


林さんの硯を物色。
試し磨りもさせて頂きながら磨り心地の違いも体験させて頂きました。


鋒鋩が詰まってきても職人さんが居れば手直しして頂けるので安心。
そんなに買い換えるモノでもありませんからじっくり選んだ
お気に入りの道具で、必要な分だけ墨を磨り、墨色を楽しみながら書く。

急ぎの場合はメールでもイイですが
季節の御挨拶や、お礼状
書道の勉強にも墨を磨る楽しみがあるのって素敵じゃないですか。






  
  • LINEで送る


Posted by HIROSHI UETA at 14:02Comments(2)文房四宝書道教室