国宝源氏物語絵巻

HIROSHI UETA

2008年02月02日 00:51


国宝源氏物語絵巻 鈴虫より
「とはなくふえなとふかせたまふ
しのひたる御まいりのさまなり
うるはしかるへきをり〱は」



いつかこのブログにて書きましたが
http://hiroshiueta.kyo2.jp/e34659.html
この国宝源氏物語絵巻は紫式部が書いた物ではなく
写本と言いました。
そして何人かの人によって書かれた物と。

今回はそれを見て頂こうと思います。

上にあげました書は、手本にしたい程スマートな癖の少ない物です。
流れるような線のつながり、左右にクルクルと回る筆遣い。
線の太い細い、墨つぎによる濃さとカスレの抑楊。

こんな手紙が来たら
顔を合わせる前に、手紙や歌でやり取りをしていた平安人は
さぞ美しい、教養のある人なのだろうを想像をふくらましてトロケていたはずです。

そしてこの書。




国宝源氏物語絵巻 東屋より
「さしとむるむくらやしけきあつ
まやのあまりほとふるあまそゝ
きかな」 


非常に力強い、個性のある書です。
左右にクルクルというより、上下左右に直線的に線をグイグイ引っ張っています。
(一行目4文字目の「む」なんて必要以上に力強く線が下がってきて、点に向い上がっています。)
線が少しバラけている所を見ると、細かい事は気にしないタイプなのかも知れません。

この様な手紙が来たら、M気のある人でしたら大喜びでしょう。
人を引っ張っていく、指導者的存在な人かもしれません。

しかし、こういったのは手本には向かないと思います。
ある程度技術を身い付けた人はいいですが
人の癖を自分の癖にしてしまうと、自分の個性が失われてしまうかも知れないと思うからです。


違う人によって書かれている事は一目瞭然です。
こんな風に絵巻物を眺めて見るのも楽しいと思いません?







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