第56回造本装幀コンクールで「海の庭」が文部科学大臣賞を受賞!

HIROSHI UETA

2023年10月30日 15:23





第56回造本装幀コンクールにて大竹民子著「海の庭」が文部科学大臣賞を受賞致しました。
ブックデザインの泉屋宏樹さんから電話を受け「ウソッ‼」と大きな声を上げたので
階下から妻が「どうしたの?」と駆け上がってくるほどの驚きとビッグニュースでした。

授賞式では改めて製作メンバーと家族が集まる事ができ
また国書刊行会の磯崎さんも来て下さったので
ようやく本当の製作メンバーが集結する事ができました。
(コロナ禍での制作でしたのでほとんど顔を合わせる事ができなったのです)

他にも印刷、製本でお世話になった方々とも初めてお会いする事ができ
コチラの知り得なかったご苦労も聞かせて頂き
本当に色々な方の手があり、この本が形になったのだと改めて感じました。
皆様ありがとうございました。そしておめでとうございます。

受賞式での泉屋さんのコメントも良かったので
それは泉屋さんのnoteから是非ご覧ください。
泉屋さんこういう時には必ず私とTRINITASとのコラボシャツを着てくれてます。感謝。
審査員の方も「本と同じオーラを感じたからきっと同じ人が作ったのだと思った」と言ってくれてました。
そういうモノなんですかね? でも嬉しいお話でした。

今後受賞作品は印刷博物館、 奈良図書情報館などでの巡回展。
来年開催されますドイツ・ライプツィヒでの
BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLD『世界で最も美しい本コンクール』。
フランクフルト・ブックフェア等に出品して頂けるとの事。
もちろんまだ購入可能ですので
コチラから国書刊行会HP是非お手に取って頂けたらと思います。

審査員の方々のコメントが授賞式で配られた冊子にありましたので掲載させて頂きます。
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島根の海辺で暮らす大竹民子氏の随筆集。 紡がれた文章からの「枯山水と水」の相反するイメージを巧みに融合させ、美 しい本に仕上げた。 龍安寺の砂紋を表す規則的な空押しの白いカバーに、墨の滲みが帯として重なる。 滲みは、深い藍色の表紙、見返しへと浸透し、 本文へ導いていく。天地小口 も藍に染められ本文ページとコデックスの背の白が浮き立 つ。 見え隠れする綴じ糸が愛おしい。 バーコードの対応も含め、 隅々に本づくりの誠実な熱意を感じた。
( 浜田桂子 )

帯に墨の滲みの広がりが3つ。 色は白と黒。 シンプルで、広 がる円の柔らかさと、硬質さが同居する。 龍安寺石庭の一部 を写し出した、と知って納得。
日本の石庭は思想だと思う。 透け感のあるカバー、 表紙、裏表紙までしみこむ墨の痕を表現し、奥行きを持たせたことにその思想を感じる。 チリを1ミリにしたところにも、研ぎ澄まされた日本的な美を表現し、ストイックな美を追求している。
( 中江有里)

魅力的な縦長の判型とコデックス装が本書に与える、片手で持って開ける安定感が実にいい。 テキストを上部に揃え下に広めの余白をとったレイアウトは、視線を上目に集中させ、読者の背をシュッと伸ばす。 また、本をめくる手が邪魔にならず、 ページと視線がスムーズに移動する。 紙の透け感を利用した 2枚のジャケットと本体に配された、タイトルと呼応する水墨調の表現が、 濃灰色の本文とともに本全体を貫き、本書を静穏なオブジェクトにしている。
( 寺本美奈子)
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事細かに本を見て頂いている事が分かります。
また専門的な目線も、コレは泉屋さんや制作に携わってくれた方々の苦労が報われますね。

最後に今年3月に島根県立美術館で開催しました「海の庭出版記念原画展」
その会場で流していました著者自身によって撮影されました松江の風景。
「海の庭」の原風景です。youtubeにアップしましたので本を片手に目と耳で楽しんで頂けたらと思います。

みんなおめでとう!




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