Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2020年06月02日

作品「行」の制作2 書の本質

映画を見ていてふと気付いた事がある。
冒険家が誰も居ない荒野でケガをし、遭難した。
自分の終わりを感じた彼は岩に文字を刻みだした。

この岩に何かを刻みたくなる感情、自分の生きた証。
内部にある底からのメッセージ。それを残したいという衝動。
そういうモノが書の根本にあるのではないのか。

実験的な映像ですけど、以後の説明に実例になるかと。

この文字を刻むという深度が書には今もある。
点を書くにしても、筆先から紙に突き刺す様に、筆を沈めて書く。
一本の線にも筆を上下させながら書く、これには筆法というルールの様なモノも存在しているが、紙や墨がまだ無かった頃の石に文字を彫っていた名残が
ソコにはあるのではないか、筆は石を削る為の刀の代わりなのではと考えている。
書道をかつては入墨道※と言っていたのもその所以ではないか。

そして、その息遣いは紙の奥だけではなく、紙の上にも繋がっている。
様々な言い方をするが
気持ちが途切れないだとか、流れと止めないとか
よく小学生の時に言われる文字の途中で”墨つぎ”をしないというルールは
筆蹟は線と線の間にもあり、文字を形成する複数の線とその間も含めて流動的に書く。

古代では文字が呪術的に扱われていた。
文字ひとつに意味を持つ表意文字であればこそ余計に文字一個に対する意味合いが強い。
だからこそ文字の途中で心(息)が途切れない、という事になったのではないだろうか。

ともかく書は昔から紙の下にも上にも筆跡がある3Dとして認識していたのだという事。
作品「行」の制作2 書の本質
※入墨道・・・書聖と仰がれる王羲之の書の筆力が強く,木に書いた墨が9mmもしみこんだという故事からによる。


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Posted by HIROSHI UETA at 18:25│Comments(0)作品/Works道程
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