Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2020年06月19日

父の日とうふ(男前豆腐店)発売中


男前豆腐店さんから「父の日とうふ」が発売されていますよ。
“父の日とうふ”の感謝のことば4種類。
 ・「男」
 ・「お父さん いつもありがとう 長生きしてね 大好きだよ」
 ・「パパ いつもおしごと ごくろうさまです だいだいだいすき」
 ・「父」

醤油をかけて文字が表れる様子は結構楽しい。
私も醤油が溜まり易くないとと思い、普段より文字を太く表現しました。
皆さんの想いが上手く伝わる事を願っています。

こんな感じでお近くのスーパーに並んでいると思いますので
販売は2020年6月15日~2020年6月21日までですので
お見かけしましたら是非。
ご家庭で楽しんで下さい。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 14:21Comments(0)依頼作品/made to order

2020年06月05日

オンライン展示会やってみます。

リモート会議や飲み会、教室など色んなステイホームが増えました。
悪くないと思う所と、なんか物足りないと思う所と様々ですが
リモート、オンラインだからできる事もあるよなあ~と考え
オンライン展示会をHP上にやってみました。

普段の展示会で見て頂いてるのは
言わば、完成品の良い所だけ。
もちろんそれこそが作品で、濃縮した全てなのですが
私達作家が考えているのは、考えた事をどの様にしたら形にできるのか?
という事です。

私自身も表現したいモノがあればどうすればそれができるのか考え
様々な道具を持ち寄って実験し、道具屋さんに相談して
道具、手順を試して最適な方法を探します。

これで出来ると分かれば、半分は出来上がったのと同じで
あとは良いのを書くだけ。

なのでそういう制作のプロセス全部を記録し
それも含めて作品として見て頂こうという企画にしました。

動画も多くあります。
リアルな時間を体感して頂く事も考えましたが
それでは数時間掛かりますし、データの容量が凄いので
倍速も入れながら、それぞれ5分程度にしています。

良ければ全行程を見て頂いた上で作品を鑑賞して頂ければ
より深く楽しんで頂けるのではと思います。
HP http://www.uetahiroshi.com/ コチラからどうぞ。

  
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2020年06月03日

作品「行」の制作3 墨の話


書が3Dである事は話した。
どうすればその表現ができるのか墨の調節。

墨は浸透して紙の中に入りそこから横に拡がる。
墨のにじみをよく観察すると、紙の表面ではなく内部である事が分る。
では紙の上で留まる荒い粒子と内部に浸透する細かい粒子を混在させれば
その表現が可能になると思いこの様な墨を使用した。

削墨。

墨を木型に入れて形成する時にできるバリ部分を
カンナで削り落としたモノで、コレを使って提灯や歌舞伎のマネキを書くのに
使われる墨で、今回求めたのは元々五ツ星と言われる最高級の墨の削墨。
コレをすり鉢で細かくする。

こうすれば荒い墨と、五ツ星の細かな粒子が混在させる事ができる。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 13:19Comments(0)道程作品/Works

2020年06月02日

作品「行」の制作2 書の本質

映画を見ていてふと気付いた事がある。
冒険家が誰も居ない荒野でケガをし、遭難した。
自分の終わりを感じた彼は岩に文字を刻みだした。

この岩に何かを刻みたくなる感情、自分の生きた証。
内部にある底からのメッセージ。それを残したいという衝動。
そういうモノが書の根本にあるのではないのか。

実験的な映像ですけど、以後の説明に実例になるかと。

この文字を刻むという深度が書には今もある。
点を書くにしても、筆先から紙に突き刺す様に、筆を沈めて書く。
一本の線にも筆を上下させながら書く、これには筆法というルールの様なモノも存在しているが、紙や墨がまだ無かった頃の石に文字を彫っていた名残が
ソコにはあるのではないか、筆は石を削る為の刀の代わりなのではと考えている。
書道をかつては入墨道※と言っていたのもその所以ではないか。

そして、その息遣いは紙の奥だけではなく、紙の上にも繋がっている。
様々な言い方をするが
気持ちが途切れないだとか、流れと止めないとか
よく小学生の時に言われる文字の途中で”墨つぎ”をしないというルールは
筆蹟は線と線の間にもあり、文字を形成する複数の線とその間も含めて流動的に書く。

古代では文字が呪術的に扱われていた。
文字ひとつに意味を持つ表意文字であればこそ余計に文字一個に対する意味合いが強い。
だからこそ文字の途中で心(息)が途切れない、という事になったのではないだろうか。

ともかく書は昔から紙の下にも上にも筆跡がある3Dとして認識していたのだという事。

※入墨道・・・書聖と仰がれる王羲之の書の筆力が強く,木に書いた墨が9mmもしみこんだという故事からによる。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 18:25Comments(0)道程作品/Works