Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2024年10月07日

「筆墨親子」展 宮本信代×上田普


母 宮本信代と二人展を行います。
二人展という形では2011年に京都で行って以来になるのだと思います。
また私の神戸での展示も前回は2019年ですから随分間が空いてしまいました。
大竹民子さんの著書「海の庭」の刊行が去年でしたから
コラボレーションという意味ではそれまでも行っていますが
作品展として一緒に展示するのは久しぶりになりますね。

アート〇美空間Sagaも15周年を迎えたそうです。
その15年の中でも私が一番多く展示をさせて頂いてるのだそうで
この展示でもうひとつ記録更新になりますね。

今回は軸作品を3点用意しています。
また本の仕立ての作品も2点。
本は今の情勢を踏まえた作品を制作しました。
2017年に95歳で亡くなられた京都の三月書房の元店主 宍戸恭一さん(喫茶店仲間でした)
その宍戸さんが研究されていた戯曲家 三好十郎の作品からのモノです。

宍戸さんには「悪人になれ」と言われていました。
戦後左派、右派と思想の観点で活動されていた宍戸さんだからこその言葉です。
要は中道の事で、世間は勝手に右へ、左へと動いています。
自分が真ん中に居てると左右の人からは悪人に見える。
しかし恐れず、群れず、中道を歩めという言葉でした。
私とって大切な言葉。そして今まさにその目が必要な気もしてそれを作品にしてみようと思いました。

私は会期中はずっと会場にいる予定で
宮本信代の在廊日は19日㈯、20日㈰、23日㈬、24日㈭、27日㈰となります。
どうぞ会場まで足をお運び頂けます様よろしくお願い致します。
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筆墨親子 宮本信代×上田普
日時:2024年10月19日㈯~10月27日㈰
    11:00-18:00(最終日 16:00まで)
会場アート〇美空間Saga(神戸 Kobe)
兵庫県神戸市中央区下山手通2-13-18 観音寺ビル1階
TEL 078-321-3312
書から油絵、水彩、クロッキーと渡り洋画の技法を取り入れた”墨の絵“を描く宮本信代。
その宮本から書を学び、独自の解釈で表現する上田普。
互いに違う方向を歩みつつも筆線、墨の魅力に惹きつけられ独自の表現を模索し続ける親子による二人展。


  
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2024年10月07日

スイスRomainmotierロマンモンティエの個展

色んなモノがブログの方では付いていけていません。
6月の話をしようと思います。
本当ならスイスに居てる間はどんどん更新してと思ってたのですが
全くでした。
軽いし、機能も有りそうだからと思ってたChromebookが
私には使い難かった事も要因のひとつ。普段から慣れておけば良かったのかも知れませんが。

ともかく現地で制作した作品は19点。
それを一堂に集めた展示とパフォーマンスを6月23日に行いました。
私にとってもロマンモンティエの滞在最終日でもあり
オープングを迎えて次の日は帰国の途という日程で
荷物をまとめつつ展示を行う慌ただしい日程になりました。

ともかく展示風景とパフォーマンスを動画にまとめました。


フレームの付いた作品はこのロマンモンティエの姉妹都市である新潟・長岡市の小国和紙を使い制作しています。
ロマンモンティエにある教会はスイスで一番古いと言われる教会で
その側にある発掘された300年、400年前の墓石の拓本(墨は使っていませんが)を取り
そのエンボスを残しつつ書きました。

パネルの作品の展示は難しかったですねえ。
均一に展示できる数量ではありませんし、大きさはランダムですし
なかなかな試行錯誤で展示しました。

これはちょうど開催されていたニコラ・ド・スタールの作品と、美術館からの帰りに見てた
大地、雲、空のレイヤーになっている向こうの風景が合致し、理解できた気がして
その3つのレイヤーを3本の線で表現したモノ。
またそこから3本線で全て表現したのですが
教会のシルエット、山、歴史、人、自然の関わりみたいなモノを表現しました。

また日本で表現してた微妙な墨の表現が石造りの建物には途中から合わない気がして
もっと強いコントラストが表現のできる削り墨を使いました。
向こうの硬水では全然墨が磨れない事も難儀しましたね。


「軌跡」という作品ですが
向こうでメモ、日記の様に書いていた作品です。
記憶がレイヤーになって次の日、明後日のページにも影響されます。
この本は私の持ち込みの紙で大福帳の方法で綴じて頂き、持って行ってました。
京都の経師mucuraさんの仕事です。
最後に置いている石はたぶん元教会の一部だった石。
色、質感が一緒でしたから。
その石の痕跡を留めてこの日記を閉めました。
ズルズルを鼻をすすってると思いますが
どうもこの季節にヨーロッパに行くと私は花粉症になるのです。

この「軌跡」の作品が役立ったのがパフォーマンス。
慌ただしくて全くパフォーマンスの構想が無いまま迎えてしまい。
始まって墨を磨ってる時もまだ考えていました。
ふとこの本を思い出し、頭の中でページをめくりながら行ったのがこのパフォーマンスです。


ざっと70名以上もの方がたぶん居てくれたのだと思います。
私は全く知り合いの居ない所でしたので
レジデンスのイザベルさんがホントに頑張ってくれました。
お出で頂いた方々も長く滞在して頂き、色んな話をしました。
この日から展示が始まり、夏の間展示が行われ
私が居ない時にご覧頂いた方からインスタを通じてメッセージを頂いたりもありました。
それで開催の無事と、私が居なくてもきちんと紹介してくれてる現地のイザベルさんを思い返していました。

他にも現地の小学校でのワークショップや地元の人々へのワークショップを行いましたが
それはまた後日。
最後になりましたが母 宮本信代と二人展を神戸で行います。
その名も「筆墨親子」 宮本信代×上田普
2024年10月19日~10月27日
11:00-18:00(final day ~16:00)

アート〇美空間Saga(神戸 Kobe)
久しぶりの神戸での展示です。
是非足をお運び下さい。



  
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2024年09月16日

アート〇美空間Saga15周年Mindfulness ~ 明日が見える~



神戸のギャラリーアート〇美空間Sagaさんの15周年記念イベント
Mindfulness ~ 明日が見える~ Saga x 片山工房
会期:2024年9月29日(日)~10月6日(日)
    11:00~18:00(会期中無休・無料)
会場アート〇美空間Saga(神戸 Kobe)
    兵庫県神戸市中央区下山手通2-13-18 観音寺ビル1階

☆オープニングトークイベント「明日が見える」
片山工房代表 新川修平氏&アート〇美空間Saga代表 正田朝美
9月29日(日) 15:00~ 無料
☆クロージングパーティー
10月6日(日)17:00~19:00

<出品作家>
紀光(絵画)/畦地拓海(漆芸)/アレトコレ ココ(立体造形)
大西節子(絵画)/大野えつし(コーンアート)/小田浩之(絵画)
加治聖哉(立体造形)/梶山美祈(立体造形)
鞍井綾音(絵画)/河野甲(立体造形)/コウノシゲコ(立体造形)
斉藤真人(絵画)/佐田かおり(絵画)/柴田知佳子(絵画)
中谷久恵(絵画)/永山政士郎(絵画)/湯井亮(絵画)
藤尾タケル(絵画)/藤澤憲彦(立体造形)/藤田有里子(箔工芸)
藤原正和(キネティックアート)/前田彩華(絵画)/増田薫(絵画)
升田学(ワイヤーアート)/美崎久美子(アブストラクト)/三野彰太(ジュエリー)
宮本信代(墨の絵)/山田千晶(彫刻)/脇阪真祈子(テキスタイルアート)/上田普(書)
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はじめは確か漆造形作家の栗本夏樹さんや、画家の藤波晃さんの展示が
Sagaさんであり、それを見に伺った事だったと思います。
お二人とも私が京都に来た頃からお世話になった作家さんで
そんな全くタイプの違うお二人が私を推して頂いた事で
それだったらと興味を持って頂いたんだったと思います。

それからは
2011年「つなぐー書の可能性」
2013年「書裂」
2016年「かなで」
2019「蹟」 の個展。
ちょうど10年前はグラフィックデザイナーの泉屋宏樹さんとイラストレーターの上田バロンさん
と行った「虎・TORA・トラ」もありましたね。
また新年やフェイバリッツ等の色々なグループ展でもお世話になりました。

出身の淡路島からも近いので神戸は身近な存在で
学生時代の淡路から見た、憧れの地の印象が今も抜けません。

またこのあとは
私の母と開催する
「筆墨親子 宮本信代×上田普」
2024年10月19日~10月27日もあります。
どうぞソレもお楽しみに。


  
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2024年06月30日

ファッションTRINITASとのコラボレーション

数十メールのホワイトデニムに書いた
良寛さんの漢詩「花無心招蝶 蝶無心尋花」
(花は無心にして蝶を招き、蝶は無心にして花を尋(たず)ぬ)
花が咲くと自然に蝶が来るし、蝶が来るときには、自然に花が開いている。
自然の営み、めぐり逢い。



逆さまですが「無心」部分

それを切り分け合いながらパンツ、ジャケット、ワンピース等のオーダーを承り
制作していく事で、自然と隣り合う人達が繋がり合うという企画です。


TRINITASさんとの企画は何度目になるのか?3度目、4度目?忘れましたが
これは対立していく世の中へ向けたTRINITASさんからのメッセージです。


またこれまで製作していました
コラボレーションシャツの製作の受注も同時に行います。






製作費はパンツ42,000円、ジャケット半裏58,000円、総裏65,000円、シャツ30,000円、ロングシャツ33,000円など
パンツにもジャケット、コート、ワンピースなど様々なパターンがTRINITASさんにはありますので
そのパターンを合わせて頂きながらお好きな形、大きさをTRINITASさんとご相談
頂ければと思います。
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「纏書」
TRINITAS×上田普

6月29日~7月7日
TRINITAS 〒604-8262京都市中京区油小路三条西入る宗林町82
         ハイツサンローズ1F西
         075-708-5719
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2024年06月20日

webマガジンとスイスでの展示



1ヶ月のスイス・ロマンモンティエのレジデンスもカウントダウンの段階になりました。
早いなあ。
作品も最終段階に入り、仕上げ作業。
表具の道具も持ってきてるので
コチラでパネルが用意できれば、裏打ちし、パネルに貼るなり
額に入れるなりいつもどおりの仕上げができる。
カナダにいてる時に向こうで手に入るフレーム付きのキャンバスに
作品を貼ってたんですが、大学で学んだ裏打ちの仕方を思い出しつつ
道具を揃え、やってたのが始まりで
その後京都でも掛け軸を作るとき以外は自分でやる様になりました。

この仕上げを自分で出来るようになってて良かったと
今ここで実感しています。

ロマンモンティエの風景と制作してる様子を撮影し編集してみました。
使ってる紙は新潟長岡の小国和紙。ロマンモンティエと元々交流があり
姉妹都市の証として小国和紙を使って制作も行っています。
雪晒しといって雪で漂白を行ってる希少な和紙。
今回沢山使わせて頂きましたよ。

ここでの個展スタートは6月23日で、パフォーマンスも行います。
その後作品は夏の間展示される予定です。


あと先月東京で行ったインテリアデザイナーさん企画の
アクアリムの浦田さんと行った展示がWEBマガジン コラージで紹介して頂いています。
https://collaj.jp/data/magazine/2024-06/
綺麗に写真を撮っていただいて嬉しい。
是非御覧ください。
  
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2024年06月03日

スイスの教会で専属パイプオルガン奏者 菊池悦子さん


ロマンモンティエRomainmôtierに来て、初めに合った日本の方ですが
このロマンモンティエの教会で専属のパイプオルガン奏者になられたばかりで
この日がこの教会でデビューの日に立ち会える事ができました。
他の教会でも演奏されてるので全くの初めてでは無いみたいですが
教会毎にカラーがあるのでしょうかね
カトリックとプロテスタントの混合の礼拝になるのだそうです。

礼拝後皆さんに囲まれ称賛されてる菊池さん

初めて日曜の朝の礼拝に参加したのですが
神父さんがテキストを読み上げ、音楽があり
みんなで歌い、神父さんが話し、音楽、みんなで歌う。
私的には舞台を見ている様であり、時折その舞台に参加して
一体感を味わい、話を聞く。
天井の高い石造りの教会のエコーは素晴らしく
人の声、神父さんの声、パイプオルガンの音も
厳かに、印象的に共鳴していました。

誰かが能もかつてはエンターテイメントであり、それはまるでロックのコンサートのように
歓声を上げ一緒に盛り上がるモノだったと書いていましたが
確かに教会の礼拝も
それに近しい事があったのかも知れないと思いました。
それだけの演出、建物の装飾、効果音、照明が揃ってる。
苦しい労働から逃れ、日曜は近所の人達と共に分かち合い、共有する。

ともかく緊張されたとおしゃっていましたが菊池悦子さんパイプオルガンの演奏は素晴らしかったし
礼拝も、これがあのパンか!あのワインか!
なんてことも思いながら一緒に体感させて頂きました。

菊池悦子さんは素晴らしい作曲家でもあります。
その曲も現代的で私好みだったので是非。

古いモノから学び、今の感覚で表現するのは
私のスタイルでもあるので、そういう意味では共通項があるなあと思いました。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 00:14Comments(1)道程

2024年05月31日

スイス・ロマンモンティエ ファーストインプレッション

古い教会があり、自然があり
水が流れ、鳥の声、鐘の音
花が咲き、虫が蜜をせっせと運び
日本人のパイプオルガン奏者が奏でる。
約一週間のロマンモンティエのファーストインプレッション。
もちろん私も実験しながらせっせと制作していますよ。
お世話になっているイザベルさんのアーティストインレジデンス DE LA TOUCHE
毎日私達を和ませてくれるジミーの事も言いたいんですけど。

あと作品の方もまた今後。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 18:40Comments(1)道程放浪にて

2024年05月30日

ニコラ・ド・スタール

ロマンモンティエに着いて5日目。
昨日ローザンヌのエルミタージュ財団 Fandation de I'Hermitageに連れて行って頂きニコラ・ド・スタールNicolas de Staëlを見に行きました。


ド・スタールと呼んでいましたが、以前から好きで
洋書の画集は持っていましたが
オリジナルの作品は見たことがなかったのです。

なのでジュネーブに着いた時に、今ニコラ・ド・スタールの展示をやってるから
見に行こう!って言ってもらった時のテンション上がり様はもう!
SNSでパリで大規模な個展が行われてたのは知ってたので
もしかしたらその巡回展なのかも知れませんね。



ロシアのエルミタージュ美術館とは関係ないそうですが
ともかく1842年〜50年に銀行家が建てたという建物自体がまず素晴らしくて
建築の凝り具合、窓から見えるレマン湖の景色、大きすぎないサイズ感、作品を間近で見られる距離感
撮影も自由、ほどほどのお客さんの数も含め素晴らしい環境でした。



ド・スタールの作品ももちろん素晴らしく
しかしながら画集では分からなかった
絵の具の厚み、サイズ感にそうだったのか〜!って。


またスイスやフランスで見ていた大きく広がる大地の様子
アレを見ていないと、理解できなっただろうなあと思える作品が幾つかありました。


外で描いてる事も多かったらしく、そういうのは小さな合板にそのまま描かれ
曲がってきてるものありました。またアルシュの紙にチャイニーズインク(墨)で描かれているもの。
キャンバスに何層にも色を重ね地層の様に描かれているもの。
年代を追う事に変わっていく作風も感じられ
この機会に見られてほんとに良かったと思います。


見てるうちに色々インスピレーションも湧いてきて
帰ったらコレをやろうと幾つか思いを巡らせていました。

帰り際キュレーターさんとお話する機会があり
美術館の事、この企画の事、ド・スタールの作品は個人コレクションが多いので
なかなかこんな風に一堂に見られる機会が無いと話されていました。
ヨーロッパでは人気のあるアーティストながらも
見られる機会が少ないのだそう。


あとローザンヌの街も坂が多くてなんとも不思議な街でした。
オリンピック本部があったり、バレーでも有名との事。
できたらまたゆっくり来たいと思います。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 06:35Comments(0)マイ・フェイバリット

2024年05月28日

スイスRomainmôtierロマンモンティエにアーティストレジデンシー

スイス・ロマンモンティエに来ました。

Romainmôtierフランス側のスイスです。
中央にスイスでは一番古いらしいロマンモンティエ教会があり
初めは928年に建てられたそうで、日本で言うと菅原道真が生きていた時代。
そこから2度の火災があり、色々変遷はあったみたいですが
たぶん今少し垣間見られるのは14世紀頃、日本の鎌倉、室町時代辺りでしょうか。
その辺りの壁画が残っています。

そんな教会の周囲にも古い建物が残ってて


小さいながも歩いてて楽しい村です。

いたる所にこういう水場があって
絶えず水が出ています。
近くの山間から湧き水が出てるようです。

この左側がレジデンス。右はレストランになります。
ここも元修道士達の建物の一部で昔は教会と回廊で繋がってたみたいです。
知人を通じてレジデンスのイザベルさんが私の事を知って頂き
ここのアーティストレジデンシーに誘って頂きました。
扉を開けたら観光地ど真ん中でベンチで食事をしてる人達と目が合う様な
環境ですが、歴史的建造物の中に素敵なアトリエとして場を提供してもらいました。
また最終的にはこの場に作品を展示しギャラリーとしても使う事になるそうです。
ここで1ヶ月ほど滞在し、作品制作、最終日には展示、パフォーマンスなんかをして帰る事になります。

早速山を2,3時間トレッキングの様に歩いたり
コチラに住んでる日本人のパイプオルガン奏者で作曲家の方に出会ったり
なんか楽しそうな予感。



  
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2024年02月22日

個展 上田普展-行間-



いつだったか京都国立博物館で見た茶の展示で
利休が作ったという棗や茶杓の小振りなモノの魅力がずっと頭に残っていて
何か小さな作品で展示がしたいと思っていました。

利休って180㎝ほどあったという大柄な人が
普通より小振りなんじゃないのかと思える棗や茶杓を扱う所を想像すると
なんかこう慈しむ様な素振りが目に浮かび、そんな作品が良いなあって思ってたんです。

そして20年ほど前からずっと憧れ、意識して好きな本阿弥光悦の茶碗「雨雲」。
樂家先代の樂 直入さんの著書「光悦考」も読んで仮名で茶碗を表現してくれている事に
嬉しさを感じ。AMAN京都内の和食「鷹庵」さんの案件で散々光悦の消息の臨書をする機会が持て。
何故あの形容し難い魅力が、数百年も人の琴線に触れさせ続けられるのか
いつか私もそんなものを作りたいと。なんかずっと調べていました。


現在東京国立博物館で開催中の「本阿弥光悦の大宇宙展」で光悦の良さの秘密を知りたくて
リサーチの様な気持ちで行ったのですが
目の前にフト「雨雲」があり、「まさかっ!」って本当に震えたんですよね(笑)。
(目録を見てなかったので展示されてるとは知らなかったのです)

めっちゃ見てきました。他のお客さんがショーケースの中のお茶碗に向かって
両手で持つような仕草をしてるのを見て「なるほど」と思い、私もやってみました。
正直、まだ何にも掴めていませんが「やはり良い!」のはよく分かりました。
あと光悦の刀を見る目と茶碗はよく似てると感じました。

そして本展。今ぼんやり思い描いてるコレをなんと形容するのかと
もう一度「光悦考」を開いていて見付けた言葉が今回の展示のタイトルです。
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上田普展ー行間 ー
Hiroshi Ueta Solo exhibition
日時:2024年3月9日㈯~17日㈰
    12:00~19:00 
    ※12日㈫&13日㈬ 休廊  最終日17日㈰17:00まで

会場ギャラリー佑英(大阪Osaka)
  〒550-0002大阪市西区江戸堀1丁目23番14号新坂ビル1F
  Tel 06-6443-0203
←DMビジュアルはコチラ

――――――――――――

文章の行と行の間。
文面に表れない真意。行(ゆく、おこない、ぎょう)の間。
表と裏、陰と陽の間。
行間がイメージを拡げ、緊張と寛ぎを与え、余韻とリズムを生む。
行が人の制限下だとしたら、行間はおよぶ所の無い場所。
そんな危うい所に手を伸ばし、触れられずとも理解できないかと墨に問う


”行”は私にとってはコロナ禍のテーマの文字です。
自分達のいが感染につながり
未来のく先を危ぶみ
を行うかの様にステイホームしていた
あの時間。

ちょうど今が次のパンデミックまでの間の時間なのかも知れないし。
そんな事を思っていると「行間」というワードがどんどんピッタリな気がしました。


で、どんな作品なんやねん。って話ですが
掛け軸も順調に進めて頂いていますし、経師さんとの話も済みました。
もちろん今現在は必死のパッチですが
私も会場がどんな風になるのか楽しみなんです。
是非楽しみにお越し下さい。
私もずっと会場に居ますので!
※休廊日あるのでお気を付け下さいね。



  
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Posted by HIROSHI UETA at 19:26Comments(0)個展・グループ展/Exhibition

2023年11月30日

セリーヌ・ライトさんとパフォーマンス関西日仏学館(京都)

9月にパリ デザインウィーク2023で
照明デザイナーのセリーヌ・ライトさんと行ったコラボレーション。

既にインテリアショップからのオーダーを受けて頂いてて
こういうのを幾つか制作させて頂きました。

その後「陰と陽」と題してセリーヌさんのショールームでコラボレーションのパフォーマンス。
セリーヌさん自身はパフォーマンスなんか初めてと言ながら
何度も何度もリハーサルを行って
なんとか無事に行う事ができました。

その時の様子の編集も終わりましたのでご覧ください。

みんな扇いでるでしょ。ほんとに暑かったのです。
フランスってあまりクーラー使わないのですよね。
夕方になるとワインボトル片手に外に出て涼むって感じで。
家でもクーラー使わない。あるのかな?
ともかく入れない人は外からも沢山見守ってくれていましたね。

この「陰と陽」のパフォーマンスですが
京都でも行う事が決定しました!

現在セリーヌ・ライトさんは関西日仏学館に照明を取り付ける為に京都に来てて
そのお披露目として再びコラボレーションパフォーマンスを行う事になりました。
日時:12月13日(水)18:30~
会場関西日仏学館(京都)1F 
    京都市左京区吉田泉殿町8
そうそうない機会ですので
是非お越しお頂ければと思います。


  
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Posted by HIROSHI UETA at 18:44Comments(1)メディア/Mediaお薦めの展示会

2023年11月13日

普及版「絵本 龍潭譚」刊行されました。


200部限定一冊30,000円の「絵草子 龍潭譚」から12年。
普及版「絵本 龍潭譚」が国書刊行会から定価2,750円 にて発売されました。

今年は泉鏡花生誕150年の年で様々な角度から泉鏡花に関するイベントが催されました。
今も坂東玉三郎×泉鏡花、幻想の美 舞台4作品が全国映画館で上映。
金沢の泉鏡花記念館では特別展「再現! 番町の家」が開催中。
また可愛らしい鏡花が歩き回るweb展覧会もコチラで。

泉鏡花作品に触れる事になったのは
まさに12年前の「絵草子 龍潭譚」からです。
イラストレーターの中川学さんが泉屋宏樹さんに自費出版で本を作りたいという相談をされ
そのタイトルを書かせて頂く事になってから。
その後「絵本 化鳥」、「朱日記」、「榲桲(まるめろ)に目鼻のつく話」と
関わらせて頂きました。
なんなら私自身が鏡花に似てるんじゃないか!?という話になったり。
鏡花の手書き原稿から垣間見える鏡花の人物像をお話させて頂いた事もありました。

さて今回、私の読めるのか読めないのか分からない「龍潭譚」の文字を
(当時、読めなくても構わないという中川さんからのお話があったからですよ)
残して頂き、装いを新たにしつつも、元の印象を上手く残して普及版が完成しました。
元のA4サイズから手に収まるA5変型判になり、金属の表紙から黒い紙の表紙になりましたが
本を開くと見事に前の印象を残しています。
紙の手触り、色合い。色々苦労があった事は聞いていますがこれも素晴らしい本になったと思います。
というか印刷、デザインは新たに凝りに凝ってます。
苦労話は泉屋さんの方から。

今回出版記念として
鏡花生誕150年「絵本 龍潭譚」刊行記念原画展が開催されます。
会期:2023年11月17日(金)~12月4日(月) 最終日17時まで
    12:00 ~19:30(日曜日は19時まで) 11/21日(火)、22日(水)、29日(水)休み
会場:本屋Title 2Fギャラリー
    〒167-0034 東京都杉並区桃井1-5-2
中川学さんの朗読会&サイン会:11月17日(金)15:00~16:00 参加費無料
中川学さん在廊日:11/17(金)12:00~17:00 &12/3(日)13:00~17:00
ということです。
お近くの方はこの機会に是非足をお運び下さい。

これまで長く使っていた煙管がとうとう支障をきたしてきて
谷川清次郎商店に行きますと確か鏡花記念館で見たような煙管が。
これもご縁と思い購入してきました。
これは”如心”という煙管なのですが、茶道表千家で使われる型だそうです。
鏡花は表千家?かどうかは分かりませんが
沢山の持ってた内の一つはこの型の煙管だったと思います。

せっかく似てると言われていますので、煙管も寄せてみた訳ですW。
国書刊行会HP https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336075383/




  
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Posted by HIROSHI UETA at 15:42Comments(1)作品/Works依頼作品/made to order

2023年10月30日

第56回造本装幀コンクールで「海の庭」が文部科学大臣賞を受賞!





第56回造本装幀コンクールにて大竹民子著「海の庭」が文部科学大臣賞を受賞致しました。
ブックデザインの泉屋宏樹さんから電話を受け「ウソッ‼」と大きな声を上げたので
階下から妻が「どうしたの?」と駆け上がってくるほどの驚きとビッグニュースでした。

授賞式では改めて製作メンバーと家族が集まる事ができ
また国書刊行会の磯崎さんも来て下さったので
ようやく本当の製作メンバーが集結する事ができました。
(コロナ禍での制作でしたのでほとんど顔を合わせる事ができなったのです)

他にも印刷、製本でお世話になった方々とも初めてお会いする事ができ
コチラの知り得なかったご苦労も聞かせて頂き
本当に色々な方の手があり、この本が形になったのだと改めて感じました。
皆様ありがとうございました。そしておめでとうございます。

受賞式での泉屋さんのコメントも良かったので
それは泉屋さんのnoteから是非ご覧ください。
泉屋さんこういう時には必ず私とTRINITASとのコラボシャツを着てくれてます。感謝。
審査員の方も「本と同じオーラを感じたからきっと同じ人が作ったのだと思った」と言ってくれてました。
そういうモノなんですかね? でも嬉しいお話でした。

今後受賞作品は印刷博物館、 奈良図書情報館などでの巡回展。
来年開催されますドイツ・ライプツィヒでの
BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLD『世界で最も美しい本コンクール』。
フランクフルト・ブックフェア等に出品して頂けるとの事。
もちろんまだ購入可能ですので
コチラから国書刊行会HP是非お手に取って頂けたらと思います。

審査員の方々のコメントが授賞式で配られた冊子にありましたので掲載させて頂きます。
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島根の海辺で暮らす大竹民子氏の随筆集。 紡がれた文章からの「枯山水と水」の相反するイメージを巧みに融合させ、美 しい本に仕上げた。 龍安寺の砂紋を表す規則的な空押しの白いカバーに、墨の滲みが帯として重なる。 滲みは、深い藍色の表紙、見返しへと浸透し、 本文へ導いていく。天地小口 も藍に染められ本文ページとコデックスの背の白が浮き立 つ。 見え隠れする綴じ糸が愛おしい。 バーコードの対応も含め、 隅々に本づくりの誠実な熱意を感じた。
( 浜田桂子 )

帯に墨の滲みの広がりが3つ。 色は白と黒。 シンプルで、広 がる円の柔らかさと、硬質さが同居する。 龍安寺石庭の一部 を写し出した、と知って納得。
日本の石庭は思想だと思う。 透け感のあるカバー、 表紙、裏表紙までしみこむ墨の痕を表現し、奥行きを持たせたことにその思想を感じる。 チリを1ミリにしたところにも、研ぎ澄まされた日本的な美を表現し、ストイックな美を追求している。
( 中江有里)

魅力的な縦長の判型とコデックス装が本書に与える、片手で持って開ける安定感が実にいい。 テキストを上部に揃え下に広めの余白をとったレイアウトは、視線を上目に集中させ、読者の背をシュッと伸ばす。 また、本をめくる手が邪魔にならず、 ページと視線がスムーズに移動する。 紙の透け感を利用した 2枚のジャケットと本体に配された、タイトルと呼応する水墨調の表現が、 濃灰色の本文とともに本全体を貫き、本書を静穏なオブジェクトにしている。
( 寺本美奈子)
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事細かに本を見て頂いている事が分かります。
また専門的な目線も、コレは泉屋さんや制作に携わってくれた方々の苦労が報われますね。

最後に今年3月に島根県立美術館で開催しました「海の庭出版記念原画展」
その会場で流していました著者自身によって撮影されました松江の風景。
「海の庭」の原風景です。youtubeにアップしましたので本を片手に目と耳で楽しんで頂けたらと思います。

みんなおめでとう!



  
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Posted by HIROSHI UETA at 15:23Comments(1)作品/Works依頼作品/made to order

2023年10月30日

風の聲(こえ)亀岡城跡芸術展終わりました。


京都・亀岡で開催していました城跡芸術展2023が終わりました。
ゆったりとした、清々しいアートイベントで天気も気候も良かった事もあるのか
ともかく気持ち良く過ごさせて頂きました。

この会期の直前にガザ地区とイスラエルの争いが始まりました。
昨年イスラエルで書道を勉強されてる方たちが団体で京都に来られて
書道のワークショップをしましたし、この直前の時期にも
もう一度できないかと打診されて、制作の忙しさを理由にお断りさせてもらってたんです。

本来なら皆さん日本に来てて、何処かで書道の勉強をされてる予定でした。
それがこんな事で全てキャンセルに成ったと主催のイスラエルの書家さんは話していました。

書道教室の生徒さんの中にはウクライナの方も居り、彼女は現在ドイツに避難していますし
フランスからオンライン教室を受けてる方はユダヤ人系の方で親族はイスラエルに居ると話していました。
アメリカ、ユーロ、アルジャジーラのニュースを見て、それぞれの動向を見ているそうです。
同じ戦争でも立場が違えばそれぞれが違う事を話している。
複雑で長い歴史的状況もあり、ややこしい利害関係までもが結びついて。

"人は静かである事を物音を聞く事で認識する。
病気になる事で健康を思い、争いを体感する事で平和を願う。
いま風のただ中で何を思う。”

この展示の為に書いた文章です。
2014年香港のアジアデザイン賞の授賞式で審査員の方が話されていました。
「今日ここに集まっている皆さんは各国を代表する優れたデザイナーの皆さんです。
その優れたデザインの力で、世界をより良い方へ導いていって下さい」と。
アジアデザインとは言え、世界的企業の優れたデザインも含めたアワードでしたので
確かに!と思えました。
優れたデザイン、作品は世界をより良い方へ導けるかも知れない。


霜草欲枯虫思苦
風枝未定鳥栖難
いまこむと だれたのめけん
あきのよを あかし
かねつゝ まつむしのなく


インスタレーションは写真では伝わりにくいので動画にしてみました。
hope see you guys soon.
I believe that good art piece can make better world.

  
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Posted by HIROSHI UETA at 01:51Comments(0)作品/Works

2023年10月11日

城跡芸術展(亀岡市) SHIROAT ART EXHIBITION 2023


京都市の隣、亀岡市で開催されるアートイベント
城跡芸術展に参加致します。

会場は明智光秀ゆかりの丹波亀山城跡。
JR亀岡駅からも徒歩で10分程度だと思います。
展示場所の下見時

いつも会場の下見の時には360度カメラを持って行くのですが
後でコンセントは何処だっけ?天井どんな感じだったっけ?という時に
ほんと便利。RICOHさんのインタビューでも話していますが
その360度写真をVRゴーグルで見るとサイズ感も思い出せるのでオススメですよ。

話を戻します。
展示以外にもイベントが色々ありますのでご紹介。
≪ボンボンマルシェ Vol.8≫
10月14日(土)/ 10:00~17:00 
入場無料(ワークショップは一部有料)

“亀岡市内のモノ・ヒト・食”の「循環」をコンセプトに、地域に新たな価値を生み出し
愛着の湧く日々をつくるマルシェです。クラフト、物々交換市、食のマーケット
ワークショップなど、総勢39組の出店が会場に立ち並びます。
詳細はコチラ

≪展覧会ツアー≫
10月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)
10:00~12:00 参加費:無料

在廊しているアーティストに作品や制作に纏わる話を聞きながら展覧会を回ります。
皆さんでわいわいと話しながら見ることは、一人でじっくりと作品に向き合うこととは
全く別の体験になります。お気軽にご参加ください。

≪パフォーマンス:風の庭 Another episode of DUALITY≫
10月14日(土)、15日(日)/ 12:00~、15:00~
公演時間70分(パフォーマンス + トーク)観覧費:無料

現代美術家・ストリートダンサー(B-boy)の辻將成が、手掛けるパフォーマンスアートDUALITY。
どのような時間・空間が展開されるのだろう。
踊りは言語では無い。その目・身体で体感しに来てください。

≪パフォーマンス:日置結弥 Yuumi Hioki≫
10月14日(土)/ 11:30~、13:30~
    22日(日)/ 11:30~、14:00~
公演時間20分 観覧費:無料

絹の羽衣と人をテーマにした舞。自然の中で縫うように、静かに呼吸するように、踊る。日本における絹
の伝承、秋の豊穣、衣食住、日々の豊かさに祈りを込めて。

などなど。なんか楽しそうですね。
関連イベント、展示もあるみたいですので
コチラも参考になさって下さい。
かめおか霧の芸術祭

またちょうど開催時に
亀岡祭というのもあるみたいです。京都の祇園祭の様に
山鉾が立ち並ぶみたいですね。
丹波亀山城跡周辺の山鉾町では23日から山鉾が建ち
暗くなると提灯が灯り山鉾の上で子供たちがお囃子を演奏するんだそうです。
10月23日(月) 宵々山
10月24日(火) 宵宮
10月25日(水) 山鉾巡行
亀岡祭 https://www.k-yamahoko.com/

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城跡芸術祭2023 
会期:2023年10月14日(土)〜10月25日(水)
    10:00-17:00 (会期中 無休)
(土&日は私も会場に居る予定にしています。)
会場:丹波亀山城跡(大本本部)
    京都府亀岡市荒塚町内丸
電車/ JR嵯峨野線 亀岡駅 南口より徒歩10分
車/京都縦貫自動車道亀岡ICより10分(駐車場完備)
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秋の心地の良い時です。
どうぞお立ち寄り下さい。

  
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Posted by HIROSHI UETA at 20:05Comments(0)個展・グループ展/Exhibition