Contemporary Japanese calligraphy artist Hiroshi Ueta

2015年05月04日

生地に墨で書く難しさ。

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カジュアルファッションブランドTRINITASとコラボレーションした
メンズシャツ「空」、レディースブラウス「海」が6日から発売開始!限定20着です!!

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いよいよTRINITASさんとのコラボ第一段「纏書(テンショ)」の発売の6日まであと2日と成りましたが
本企画の私の方の苦労話を。(ちょっと長いですが・・・)

実験の数々。

今回生地に直接墨で書くという話に成って
沢山の実験を行ったのですが
というのも・・・

墨が服につくと洗っても落ちないと思いますよね。
だから墨で普通に書けば と思うでしょうが
完全には落ちないというだけで
染物とすると落ち過ぎて、うす~いグレーに成るだけなのです。

これは墨は煤(すす)という粉の集まりですから
水に溶けて黒くなっている訳では無く、水の中を黒い粉が漂っている状態なので
それで書いても生地が染まる訳ではなく
繊維の中に粉が入り込んでいるだけの状態なのです。
だから洗うと粉が落ちていく。顔料と言われるモノです。

コレを定着させる接着材の様なモノが必要な訳で
紙の場合、墨に入っている膠(にかわ)がその役割をしてそれで十分なのですが
生地の場合洗剤でゴシゴシ洗しますし、膠自体も水に溶けたり
温度が上がると柔らかくなる性質もあるので
それに耐えられないのです。

書き上がって乾かしている所。上レディーズ「海」、下メンズ「空」

以前着物に墨で書く仕事もやり、染色試験場等でもお話を聞いたりも
したのですが、結局この事とニジミが出過ぎる事がテーマでした。
「辻が花染」

やりたかったのは
安土桃山時代に生れた「辻が花」という染に墨でニジミの無い細い線が描かれているのですが
「これの方法が分からない。今は途絶えているコレを解明して欲しい」と言われたのでした。
実験を重ねたのですが結局上手くいかず、化学樹脂のバインダーと糊を墨と交ぜて書く事に成りました。
しかし、これの駄目な所はせっかくの生地の風合いを損なう所で
乾くとペンキで書いた様に硬く成ってしまうのでした。

市販の墨液でも布用とかありますが
結局は樹脂系の接着剤が入ってて、ニジミにくくする為ドロドロで好きな書き心地ではありません。
かすれた所を何度も書き足したり、やはり硬くなります。

それをどうにか墨の色合いを出しつつ、生地の風合いを残す自然素材で定着できないかと
今までの知識と、染色、漆芸の方のお話や材料などを聞いて
数年越しでそりゃもう色々試行錯誤をしてようやくできたのが今回のコラボシャツです。

完成して思うに、昔の人はホントにスゴイ!
特別なモノではなく、身の回りの素材でその特性を生かしてモノ作りする姿勢。
無理強いはしないそのやり方に感服しました。
レディース「海」。こうして生地パーツに書いてから縫製しています。
メンズ「空」Mサイズ。自撮


しかしこれも生地によっても違う様で
ウールやシルクの様な動物性の生地は、同じ動物性の膠と相性が良いらしいのですが
コットンや麻の様な植物性の生地は相性が悪いという事もあるみたいです。
しかし、そのコットンを克服できた事は今回の大きな収穫でした。
と話ばかりして結果を言わないのでヤラシイですね。

これが今回の必要な材料。膠、明礬、卵白、墨でした。
バインダーも並んでいますが生地を傷める事も分かったので使用しませんでした。




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Posted by HIROSHI UETA at 17:11│Comments(0)文房四宝
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